友達
第29話
久しぶりに友達と会うことにした。だって、あっちから連絡してくれないと会えないから。コタローさんにお願いして、スマホに登録されてる番号を探してもらった。
連絡すると、大学生だから忙しいらしく、なかなか会うまでに時間がかかった。
「あゆ、久しぶり」
「久しぶり」
「はぁー、お腹すいた〜!もちろん奢りでしょ?」
よく電話できたね?どうやったの?とは聞かれなかった。
「…うん」
電動車椅子できみこはやってきた。コタローさんをいつ会わせよう?それとも、会わせないほうがいい?
「これ、うまいんだけど!友達と行った時も食べたけどやっぱりうまい!」
むしゃむしゃと、きみこはチキンをほうばる。大学の友達とか、いいなぁ。
私はメニューが読めないし、食べる気もないから水だけだ。
「ゼミの先輩がさ、すっごい優しくって〜。今度出かけない?って言われたんだよね〜」
「へぇ…」
「はぁ、みんなに優しくしてるかもしんないのがねぇ〜」
いつも、きみこの話ばかりになってしまう。
「…きみこ、私…実はね…結婚した」
「はぁ!?なにそれ」
なんか、怒ってる?私の想像したのは、なんで言ってくれなかったの?かと思ってた。
「それってキャバクラの金持ち?」
「違う…」
「はぁーその人可哀想。あゆが字を読めないのどーせ知らないんでしょ?」
ここで、私のコンプレックスを言われるの?しかも、私が悪いみたいに。
「…知ってるよ」
「うそーなんで結婚したの?え、あれ、もしかして嘘ー?」
「嘘じゃないよ」
「字も書けないし、ほんっとダメなあゆのこと、絶対知らないでしょ」
「話したし、知ってる」
「えー?じゃ顔だけで選んでんの?あー、わかった。あゆが妊娠したとか言ったんだ。最低だね」
「してないよ」
「じゃなきゃこんな女、普通選ばないよね」
「…きみこは、反対なの?」
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