第28話

「あゆちゃんのこと怒るなんてひどい」


「…コタローさん、ありがと」


「ううん!」


「婚姻届、書き方今日教えてくれるって」


「へぇ!甥っ子は親切だね。俺も行ったほうがいい?」


「ううん、名前のとこだけ書いてもらわないとだし持って帰るね。なんか、わかりやすくしてくれるって。あとね、保証人にもなってくれるんだ」


「へー!兄貴の甥っ子いい人」


「私のこと、勝手に馬鹿にしてると思ってた」


「兄貴がいい人だから、ぜったい優しいはずっす」


「そんなに優しくはないよ?コタローさんのほうがもう、すんごく優しい!」


「照れちゃうなあ」




「ユア、ちょっと来い」


なんでそんな態度悪いわけ?


「なんですか」


紙を渡された。


「これ。ふせんに記入するところ、書いてある」


「…わかりました」


仕事終わってからでいいのに。この人早く帰ろうとしてる。


「宮本さんは、字は書けるんだろ?」


「…はい」


「じゃ、お前は名前だけ書いて、後は全部書いてもらえ」


「…はい。ありがとうございます」


「じゃ、店戻れ」


…ぜーんぜん優しくないんですけどー

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