病院

第24話

私は、子供の頃から文字が読めなかった。文字も書くのも難しい。

なにかもよくわからなかった。それは今も。小学3年くらいに、先生がマンツーマンで自分の名前を書く練習をしてくれた。だから、自分の名前だけは書けたけど、それだけ。先生は、異動してしまったから。


「そうでしたか。学校は通えていたんですか?」


「クラスで仲良くしてくれた人が、読み聞かせてくれたり、したので。でも中学はクラス変わったから、全然行かなくなりました」


「ご家族に相談しましたか?」


「…はい。でも、勉強不足だって言われて。嫌われてました。それから家出しました」


「そうですか…」


「アルバイトしてても、文字が読めなくて、知られたくなくて辞めたりしました。今はキャバクラなので、話すだけなのでできるんです」


「履歴書はどうされたんですか?」


「いらないところを受けてました」


「その他の契約とかは」


「友達が助けてくれました」


いつも頼ってばかり。


「お話をもっと聞きたいので、またいらして下さい」


先生がいろいろ試してみたら、もしかしたら読めるようになる可能性もあると言った。


それを知ったら、友達はもう私から離れていくのかな。

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