第19話

「あゆちゃん」


「おかえり」


ソファーの隣に勝手に座る。聞きたかったこと、忘れないうちに聞こう。


「証人ってなんすか?」


「ん?保証してくれる人。借金の肩代わりとか」


「兄貴が、なってくれるらしいっす」


「え?お金ない?」


「いや、結婚…」


「え」


「あゆちゃんは…結婚したいとか、ありますか?」


「それは…コタローさんに聞きたい」


「え?」


「まだ知り合ったばっかりだけど、私と結婚したい?」


「したいっすけど、俺、そんな大層な人間じゃ…」


「じゃあしよう?」


「へ」


「その兄貴にも会わせて」


「兄貴は、忙しい人だからいつ会えるかな…」


「コタローさん!」


「わ!」


抱きつかれちゃった。


「家族になりたいな」


「いいんすか?」


「うん。キャバ嬢は続けるよ?飽きるまで。それでもいい?」


「もちろんす!」


あゆちゃんは、なんで俺なんか好きなんだろう。あゆちゃんは俺から離れると、目を合わせてにこっと笑った。


「あゆちゃんの迷惑じゃない?」


「なんで?」


「自分、…バカ、だから…」


「コタローさんは、よく言われてた?」


「…そうっす」


「バカなんかじゃない」


「え」


「だって、料理上手じゃない!」


「…ありがとう」


「兄貴と連絡とれたら、結婚の手続きしよ」


「はい、あの…そういう、書類?とかあんまり得意じゃ…」


「私も字、書くの苦手だし、読めないから全然わかんないよ」


「よし!兄貴に聞こう!」


兄貴はそういうの詳しいから。

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