第14話

「え…?そうなの?」


「いつも」


「お昼は?」


「適当に食べたり食べなかったり」


「そっか。じゃあ店に先行って、食べようかな」


「わかった。はい、うちの鍵」


「え」


スペアキーを手渡した。


「コタローさんといたいから」


「あゆちゃん」


ハグされちゃった。


「ありがとう。帰り寄るね」


…好き!


コタローさん出勤後にシャワーして、もうやることない。

コタローさん、好きすぎるなぁ。どうしよ。お店に行っちゃったから寂しいな。


あ?電話?


「はい」


「あ、雪見です」


キャバクラのボーイ、雪見から電話とは。


「なに」


「調べたところ、睡眠薬のようで。もう出勤してもいいそうです。って隼人はやとが」


雪見の友達の、ヤクザの隼人からの連絡をわざわざしてくれたらしい。


「あーそう。今日は休む」


「了解です」


雪見に番号教えてないのに。あー、住職様?


はぁ…もう、コタローさんに会いたい。

大きな手で触られたい。

どのくらいの強さがいいんですか?とか、言ってさ。お寿司握るくらい?とか私が言うと、こう言う感じ?とか。…はー、思い出しただけで気持ちよくなっちゃいそう。


こんなことはじめて。今までの人と全然違う。私の気持ちなんて、聞かれたことなんてない。私なんて、ただそこにたまたまいた女の一人でしかなかったんだろな。


だけど、コタローさんはあゆちゃん…って。私のことだけ、見てる。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る