第8話

「宮本さんのごはんおいしかったです」


「ありがとうございます。また今度は予約していらしてください」


だらだらしゃべって長居した。でも嫌そうじゃなかった。私も居心地よかった。いや、居心地良すぎた。


「私、宮本さんとだけ会いたい」


「え?」


「宮本さんともっと話したい」


「…ええと…自分は営業時間にはいつもおりますが…話す時間は…」


「違って。お仕事してないときも、会いたいです」


「…え?そ、それって、デート?」


くるくるな目が見開いてる。


「そうです」


「…え?え、ええ!?あゆさん、俺のこと…」


「気になります。すごく。お願いします」


「え!そうなんですか?…あの、女の子と付き合ったことなくて、その…どうしていいか…わからないんです…」


たぶん年上だと思うけど、こんなこと正直に私に言う人はじめて。


「付き合ってくれますか?教えますから」


「そ、そんな急にデートしていいんですか?」


「大丈夫です。明日は?」


「定休日ですけど…」


「私のスマホに連絡先入れて下さい。コタローで」


「えっと…俺の電話番号?」


「はい」


私のスマホを手渡す。こんなこと、したことない。


「はい、わかりました。…あゆさんの番号は?」


「調べて下さい」


「え?どうやって?」


「今登録したでしょ?それでコタローさんに電話して」


「あー!なるほど!俺の画面で見ればわかるのか!あ、スマホ持ってきます」


ぱーっとお店の奥に走って行った。

それから戻ってきて、私のスマホ押して、自分のスマホで確認してる。こんな面倒な作業、嫌がらずにやってくれるんだ。


「宮本さんはおでかけよくしますか?」


「いや、あんまり…食材は買いますけど…」


「じゃあ、水族館行きましょう」


「え!それって、魚がいるところ?」


「はい」


「どこにあるんでしょうか?」


「私が連れてきます。明日何時に会う?」

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