第4話

「ユアさん?1人で歩けます?」


雪見のくせに、心配してくれてる。


「大丈夫だから。じゃ、とりあえず帰る」


「はい。お気をつけて」


「うん」


ふらふらしながら、ぼーっとしながら歩く。あーお腹すいた。なんか食べたい気分。

でも、どこで?


『あゆちゃんって、字が読めないもんね。頭良さそうな顔してさ』

『汚い字書くよね』


笑れたこと思い出しちゃった。


メニュー、誰か読んでくれたらな。

コンビニ飯買って、帰ろ。


はぁ、立ってられない。


涙がたくさん出てきた。薬のせいなのかな。嫌なこと思い出してしまったのもそうなの?

あ、そうだ。雪見には助けてくれたお礼、今度何かしてあげないとな。いつもこき使ってばっかだから。


「お客様?大丈夫ですか?」


「え…」


白い服着た、板前さんみたいな男の人。心配そうに私を見てる。


…お客様?なんの?


え、しゃがんできた。


「ご予約されてますか?」


え?え?


私のいた場所は、たぶんお店の前だ。


「すみません、客じゃないです…。すみません、ご迷惑…」


「あ、…あの、目が」


「え?」


「お化粧、なのかわかりませんが、汚れてしまっていて…」


「ご、ごめんなさい…綺麗なお店の前で」


泣いたせいで化粧崩れてるんだ。恥ずかし!


「辛いことあったんですか?」


「…いえ…なんでも…」


慌てて立ち上がろうとしたら、腕を掴まれた。


「待って下さい。今日は、定休日なんで、中で拭いてください」


「…いえ、そんな」


「遠慮はいりませんよ」


ほっとする笑顔の人だった。

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