ニ話 あれから2年………

 国立イリガル学園。

王都クロストの中心にあり、設立されてから150年の歴史がある有名な場所。ここに入ることができれば人生の泊となる程の実績をもつ。この学園では平等に重きを行っており、貴族や王族、英雄といった肩書は必要なく誰でも入ることができる。まさに夢を見て叶える場所である。


 しかし、ここに入りたい生徒の内訳に対して、約10分の1は入ることが出来ない。原因は多くあり、入ることができたのが、ほぼ貴族関係だけなど当たり前になっている。



「つまり、この魔法陣の隅にあるスペースに保存の方程式を書けば………とこんな時間か。それではここまでで今日はおしまい。もうすぐ一学期最初の中間テストだからしっかり覚えるように。それじゃあ解散。」


『終わった〜』『この後どうする?』『聞きたいことがあるんだけど……』


 今日の授業が終わり、教室の空気が緩む。この後の行動について、多くの人が話し合っている。その中で俺、ミナトは教室の左後ろの窓近くで勉強していた。最初は多くない平民の人たちと話していたが脱落者が増え、貴族の生徒だけの光景にも空気にも慣れたミナトはいつものように帰宅準備を始めた。


 帰宅準備をしているミナトに声をかける者などおらず、まるで存在していない者として扱われているこの状況にも慣れてしまったミナトは、時間を無駄にしないようそのまま教室をでた。





『今日は疲れたー』『〇〇さんのことなんだけどさ〜』『アルシャ様!今日開くお茶会のことなんですけど………』


「………」


 様々な生徒が通る廊下を歩きながらミナトは思う。どうしてこうなってしまったんだろう……と。

 最初の頃はよかった。同じ境遇の子と話し、行動して楽しく過ごせると思っていた。共に切磋琢磨して、お互いを慰めたり、褒めたりできると思っていた。村にいたときの様に楽しく過ごせると思い込んでいた。


「………………い」


 一緒に遊ぼうぜと言ってくれたあいつも、場所が別になり、機会が減ったことで話すことも少なくなった……会いに行った時、あいつの周りには多くの人がいた。それが自分とあいつの間に線が引かれてるようで……


「おい!貴様だ貴様!」

「………何?」


 いつの間にか目の前にいたのは他クラスの生徒であるモブ1とモブ2。名前なんて覚える気もなかったしからモブ1とモブ2と頭の中でそう呼んでいる。


「お前、ちょっと来いよ。」

「そーそー。ちょっとツラ貸せよ。」

「……………」


 ことあるごとに突っかかってくるこいつらは何を思ったのか俺をイジメの対象にしたらしい。こうして事あることに俺をつかってストレス発散をしたいらしく、よくツラ貸せよと言われる。どこでそんな言葉覚えたんだろね。………ちなみに黙りすぎると殴られる。


「オイ!何時まで黙ってるんだよ!」

「来るのか来ないのかどっちなんだよ!」

「………………わかった。」


 本来なら断るべき場所なんだろうけど為、渋々ついていく。ちなみに断っても意味は無く。貴族という権力を楯にして脅してくる。………この学園は平等に重きにおいているはずなんだけとなー。


モブ達についていく途中、ふと教室を覗くとそこには親友のアラタが他の生徒達と楽しそうに話していた………。

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