第3話

アパートの部屋に帰り、コンビニで買ったチューハイで軽く晩酌をしながら私は考えた。

丸岡蓮志という男の正体について。


「自警団か…彼はきっと、表社会の人間ではないのかな?うーん…殺し屋やヤクザとか??」


いや、そんなことがあるはずがない。裏社会を舞台にした映画や漫画の見すぎだ。

そもそも「自警団」なんて言葉にピンとこないから、何となくおかしな想像をしただけだ。


「あれこれ考えても仕方ないわね」


深く考えずに、私はその日眠りについた。


―翌日


仕事中、同じ職場の先輩である藤本さんと後輩の石井君がこんな会話をしていた。


「ねえ石井君、うちの知人がやっている居酒屋に山瀬組っていうとこの人たちが飲みにくるらしいのよ」


「山瀬組?建設会社か何かっすか?」


「それが、明らかに厳つい風貌の人たちで…話によると指の一部がない人もいたらしいわ。まあ、悪い人ではないそうなんだけど」


「指がない…ヤクザか何かっすかね?罰として指を切るとかいう話も聞くし」


「どうなんだろう?夫に後で聞いてみようかな。あの人、昔はヤンキーだったらしいから」


石井君の言葉を聞いた私は、ふと丸岡の手を思い出した。

彼の手は大きかったが、右手の小指が無かった。


だとすると、きっと丸岡は山瀬組の人間なのかもしれない。

私はすかさず、2人の会話に割って入った。


「藤本さん、そのお店の名前って何ですか?」


「ん、お店の名前は『よねや』だよ。りっちゃん、どうかしたの?」


「いや、ちょっとその山瀬組について気になることがあって行きたいんです」


藤本さんと石井君は、不思議そうな顔をして私を見た。

ヤクザの行くお店が気になるのだから、それもそうだろう。


そして石井君は口を開く。


「河合さん、事情は分からないけど気をつけてくださいよ。ヤクザらしい輩と会うのに女性一人は危ないし、俺も一緒に行きましょうか?」


「ありがとう、助かるよ石井君」


その日の退勤後、私は石井君と落ち合って『よねや』に向かった。

丸岡に会うために…



続く

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