第2話
私は河合リツ。29歳のOLだ。
普段は介護関連用品の会社で働いている。
この年齢だから結婚を考えたこともあったけど、なんだかんだ昔の彼氏とはうまく行かなかった。
周りの友人や同僚が結婚していくのを見ていたが、いざ自分は…といわれるとピンとこない。
やはり私は、一人でずっと生きていくのが向いている。
たまに趣味の旅行を謳歌しつつ、年を取って死んでいくのが理想だ。
特に実家の両親も、私の結婚に関しては何も言わない。弟家族と同居していて、孫と一緒に幸せに住んでいるみたいだから。
しかし、そんな私でも気になることができた。
この間コンビニで助けてもらった丸岡蓮志という男はどうも引っかかった。
色黒で顔に傷があり、背丈は180ぐらいの腕っぷしの強そうな男だった。
見た目が厳つい割には、彼の落としたハンカチは絹のような美しいものだった。
別に彼に一目惚れしたわけではない。
それでも、また丸岡に会いたい自分がいた。
淡い期待をいだきつつ、私はいつものコンビニによった。
商品を詰めてレジに並んでいると―
「ん?あんたはこないだの…」
丸岡だった。あの時と違い、ランニングで着ていそうなジャージを着ていた。
「河合です!丸岡さん、その節はどうもありがとうございました」
「いいですよ、気にしなくても。俺の仕事ですから」
精算を終えると、私は少し気になることを丸岡に聞いてみた。
「丸岡さん、自警団ってのは一体…どんな会社にお勤めなんですか?」
丸岡は少し口ごもった様子でこう応えた。
「んー、河合さんみたいな普通の会社ではないな。平たく言えば、街から悪いやつを締め出す仕事っすね」
「警察や自衛隊?」
「いやいや、そんな大層な仕事じゃないっすよ。…また、会えるといいっすね。じゃあ元気で」
丸岡はどこか釈然としない様子で場所を後にした。
一体彼の正体はー??
「深く考えても仕方ないのかな」
夜道をゆっくりと歩いていくのだった。
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます