夜のハンカチ

夜海野 零蘭(やみの れいら)

第1話

残業が終わり、暗い夜道を歩いていた。

職場から駅まで徒歩10分。少しだけ飲食店やコンビニがやっているだけの、静かな道だ。


いつものコンビニに入ろうとすると、ガラの悪い高校生男子と思われる2人に絡まれた。おそらく、不良高校で有名なA高校の生徒だろう。


「おい、ババア。金よこせ」

「金ないなら体で払うかー?どうせババアだから1円にもならねえけど」


あまりにも無礼な態度に、どうしたらいいか分からず私はパニックになってしまった。

すると、私の背後から大柄の男が声をかけてきた。


「おい、ガキども。このお姉さんに何してやがる」


男は鋭い眼光を高校生達に向ける。


「か弱い女性を脅すならころすぞ」


男子高校生達はすっかり怖気づてしまい、その場から立ち去った。


「お姉さん、大丈夫ですか?」


その男は鋭い目をしていたが、私に視線をやると優しい眼差しになった。


「大丈夫です。ありがとうございます」


「俺の名前は丸岡蓮志。このへんで…まあ、自警団ってのをやってんだ。またゴロツキがいたら仕留めてやるからな」


「ありがとうございました。」


「それではまた」


そういうと、丸岡は立ち去っていった。

さり際の彼のポケットから、白い絹糸で出来たハンカチが落ちた。


「あの、丸岡さん。これ落としました」


「ありがとう。ところでお姉さん、お名前聞いてもいいかい?」


「河合リツです。この街でOLやっています」


「河合さんね。また会うときがあったらよろしくな!」


丸岡は、背も高く屈強な体つきをしていたが物腰は柔らかだった。しかし、自警団とはなんだろうか?


私はそれが気になった。また会うときが来るだろうか?


続く

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