第3話 〜落とさず、全て拾いきる〜

救う…人をか…?

俺が…俺は人殺しだぞ…?

地獄に行った方がいいのではないのか…

…いや、違う。

人を殺してしまった罪を背負い、生きていくべきなのかもしれない。

神が言っているんだ。きっとそれが正しいんだ。

───────

俺は深呼吸した。そして決心した。

[異世界]

再びその言葉の意味を考える。

人を救う…つまり危険な異世界なのか…?よくある魔王を殺して世界を救うということなのだろうか。

俺は神に尋ねる。


「人を救うというのは…魔王が支配しているという感じの世界なのでしょうか…?」


神は説明不足だったことに気づいたのか。初めから異世界について話し始めた。


「あなたがこれから行く異世界は、[ロルケアス]という世界です。ロルケアスには様々な種族が国家を創り、暮らしています。その中の1つの国家が、[魔界国家]。彼らは他の国と対立することが多く、魔界国家とその他の国との間で紛争だったりが起きています。残りは説明不要ですかね」


俺は大体察した。

魔王が支配している世界と思っていたが、割とそうでもないらしい。

しかし、俺に与えられた使命は[人を救う]というものである。

俺が魔界国家と対立してしまうのは少年自信がわかりきっていたことだ。

対立なんか小学生の喧嘩くらいでしかしたことがない男は、考えた。


魔界国家と対立するということは、魔界の民を殺すという事なのか。


[救うために殺す]

───────

矛盾だ。こんなことしても何になるのか。いや、俺が魔界側につけば…いや、立場が逆転するだけだ。結局死んでしまう。犠牲は付き物ということなのか…?


…いや、そもそもなぜ殺すことが前提条件となっている。


殺す必要なんてないじゃないか。


あの日以来、「死」「殺」こんな言葉を思い出すとそういう思考になってしまう。そんな自分が嫌になっていく。変えなければいけない。少年の異世界での目標はもう決まった。


少年は神に伝える。


「俺は誰1人失わず、全員救って見せますよ」


神はそんな無謀なこと出来るわけがないと思わんばかりだったが、今の彼の目の奥には、必ずやりきる。そんな風に思わせる何かがあった。

神は少し楽しそうに見えた。ハヤトの言葉に頷き、女神は話し始めた。


「この場にある全ての[もの]の中からどれか1つ持って行きなさい。自由よ」


神が指を鳴らすと、ハヤトの周りに無数の装備、武器が出てきた。

ハヤトは[かっこいい][強そう]と思うより先に[重そう]などと思っていた。

女神が忘れてたことを言うかのように慌てて話し出した。


「次あなたが声に出した名前の[もの]が相棒となります。その瞬間にあなたと相棒を異世界へ転送させていただきます」


もう異世界へ言ってしまうのか?驚きと焦りがあったが、とりあえず俺は装備と武器を見ることにした。

持って行くなら武器にしたいと思っていた。

特に深い理由はない。武器の方がかっこよさそうと思っただけだった。


「(俺筋力そこまでないしな、筋トレとかすれば良いんだろうけど、軽そうな武器あるかな?)」


少年の目についた武器のところまで寄った。双剣だった。

そこまで大きくなく、かっこよかった。これにしよう。さて、武器名は、

…………

読めない。

きっと英語でも中国語でもない。

これは異世界語だ。

俺は神の方を見たが、神は別の武器を見ていた。

俺は神を呼んだ。


「神様ー」

「え?」


次の瞬間、俺の目は一瞬にして光に飲み込まれた。

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