プロローグ

「戦意ある心臓条約」とは何ぞや

戦意せんいある心臓しんぞう条約じょうやく」(一部いちぶ抜粋ばっすい

 第一だいいちじょう 怪獣かいじゅうよわくなければならない。

 第条 怪獣は人造じんぞうでなければならない。

 第さん条 怪獣の心臓は戦意があるだけのこわれかけでなければならない。

 第よん条 怪獣はか弱き童女どうじょってはならない。

 第条 怪獣はか弱き童女の道具どうぐによってけねばならない。



 だれもが魔法まほうしょう女の存在そんざい現代げんだい日本にほん

 生物せいぶつ兵器へいき禁止きんし条約をより「平和的へいわてき発展はってん」させた国際こくさい条約、「戦意ある心臓条約」が締結ていけつされた。

 日本も、この条約に加盟かめい


 これにより、「おんなの子でもたおせる生物兵器のみ戦そう使用しようみとめられる」こととなった。


 女の子でも倒せるということは、女の子の裸眼らがんでまず、「ることが出来できるサイズ」。でなくてはいけない。

 生物や病原菌びょうげんきん、殺人ウィルスはつくるのも禁止。


 こうして、もともとあった生物兵器の弱体化じゃくたいか無力むりょく化がすすなか

 わる大人おとなたちはこうかんがえた。

「弱い女の子をこの世界せかいから無くせば、つよい女の子が倒せる生物兵器の使用がみとめられるね」と。

 それから、この条約を「ねじげて考える大人たち」がうごき出してしまった。


「怪獣」というおぞましい人造生物兵器と、「魔法少女」という魔法道具をった強い女の子をたたかわせよう。

 いろいろな人々ひとびとに条約をまもっているあかしに、「公共こうきょうで、マッチングすること」になった。

 出会であけいのマッチングではない。

 戦とう系マッチングだ。


 実際じっさいは、「魔法少女」をうん用しはじめたが、上手うまくいかなかった。

 女の子がせっかく魔法少女になったのに、怪獣に負けてしまう。

 学校がっこうで「怪獣委員会いいんかい活動かつどうをさせて、「怪獣の弱てん」も指導しどう訓練くんれんしているはずなのに。

 絶対ぜったい、怪獣に負けてはいけない女の子なのに。

 それでは、生物兵器を使つかいたい大人たちがこまってしまう。


 そこで、「さらに最悪あいさくのことを考える大人」があたらしいあん発表はっぴょうした。

 おおやけの場で、魔法少女が簡単かんたんに倒せるように。「事前じぜんに怪獣の安全あんぜん確認かくにんする」魔法少女をえらいた。

 それは、すなわち。




 怪獣の安全試験をする、研究所けんきゅうじょ所属しょぞく安全委員の魔法少女。




 安全委員会の魔法少女はとても便利べんり

 最悪、怪獣委員会の魔法少女が負けそうになったら。「交代こうたいよう員」として、安全委員会の魔法少女を派遣はけんすればい。

 そうやって、安全試験場でも、げん場でも、どこでも、安全試験をおこなうのは、仕方が無い。


 王様おうさまに王様という「王継承者けいしょうしゃ」がいるように。

 遠足えんそく延期えんきがあれば「予備日よびび」があるように。

 怪獣委員会の魔法少女のために、「安全委員会の魔法少女」がいる。


    ◆◆◆

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る