第4話 ジャグジー

テキーラで気持ちよくなった2人は、手を繋いでホテル街へ向かっていた。

チョコレートみたいな看板が可愛い、クリーム色のホテルにはいる。

「色んな部屋があるよ、どこにする?」

啓介が私の顔を眺めてニヤニヤする。

「どこでもいいよ、安いやつで。」

私は適当にシンプルな安い部屋を選んだ。


「風呂入ろうよ」

そういうと、啓介は躊躇いもなく全裸になり、私を脱がせ始めた。

「自分で脱ぐから、先入ってて。」

「わかった。」


「アイカー!早くおいでよ!」

体洗った?と思わずにはいられない早さで、風呂の方から声がした。

暗い部屋のなかで、一段と明るく怪しく光るジャグジーの音は、ブクブクと不規則なリズムを刻む。


背中を向けて身体を洗っていると、ジャグジーの中から啓介が手を伸ばしてきた。

「俺が洗ってあげる」

そういって私のタオルをとりあげ、股の部分を強くゴシゴシとこすり始めた。

「ねぇ、キレイになってからにしよう。」

不快になった私は啓介からタオルを取り上げ、手短に身体を洗ってジャグジーに入った。


ガラス張りの風呂場からは、脱ぎ捨てた服の置かれたベッドが見える。


「楽しみだなぁ、ここでする?ベッドでする?立ってする?」

私の身体に密着し、顔をベロベロと舐めながら啓介が聞く。

さわやかな顔して、軽く変態だな。

「どこでもいいよ。」

「じゃあ、ここでしよう。」

そういうと啓介はいきなり指を入れてきた。

「ねぇちょっと、まだ何も気持ちよくなってないんですけど」

私は啓介から身体を離した。

「あぁ悪い、ごめんごめん。」


そう言うと、啓介はジャグジーの淵に座り、股を開いた。

「舐めて。」

あぁ、この感じはハズレだな。

呆れながら啓介のモノを咥える。

「あ、アイカ、それいい。。ずっとやってて。。」

啓介の独りよがりに付き合わされ、ヤツは1分ほどで果てた。


「アイカ、ごめんごめん、つい気持ちよくて。ベッドでもう1回しよう。」

そう言って啓介は私を抱っこしてベッドに連れて行った。


啓介は、ご挨拶程度に私の敏感な部分を触り、またすぐ自分を舐めるように要求した。

そして自分が最高潮になった途端、勢いよく私の中に入ってきた。

「痛っ‥」

私の表情になんて目もくれず、目を閉じて大きな声で喘いでいる男の姿が目の前にある。


あーあ。バッカみたい。


私は仕方なく、目を瞑り、和哉との甘い甘い夜を思い出してこの場をやり過ごすことにした。

和哉はいつも、私に入ったまま、切ない声で私の名を何度も呼び、好きだと言って、数えきれないくらいキスをした。

 (アイカ、、大好き、、可愛いよ、アイカ、、、気持ちいい?)

和哉とのセックスを思い出していると、気持ちが柔らかくなって、目の前の出来事が現実ではないように思えてくる。

早く終わって。


案の定、啓介はまた2分もしないで果てた。


「アイカ、オレ、3ラウンドもいけるよ。」

息を切らしながら、啓介は私に触ろうとする。


—触らないで!!

そう言いそうになるのを我慢し、私は服を着た。

「ごめん、明日仕事だから、もう帰るね。さよなら。」



私は足早にホテルを出た。



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