第227話:園田の湯、確定しました
学校内にある、元・宿直室。
畳敷きの狭い部屋ながら、簡易のキッチンも、あり。
トイレは、普通に校舎内のが使えるとして。
お風呂。
学校内にも、運動部用にシャワールームがあるけど。
夜間は戸締りされてしまうってことで。
うちのお風呂を、と。
母さんも、協力的に。
母さんと先生たちが話し合った結果。
『園田の湯』が、確定みたいですね。
「沢田先生の入浴は、わたしが居る時で、
えぇ、なんかすっごい面倒なんですけど。
女性のお風呂は長いからなぁ。
あたしも、以前はそんなに時間かけてなかったけど。
今では、早くても四十分以上はかかるし。
のんびりしてると、一時間以上。
エリ先生が、どの程度かにもよるけど。
だいたい、一時間くらいは見積もっておいた方がいいよね。
とばっちりっぽい部分は、あるけど。
ある意味、かわいそうなのは。
「あぁあ。結局ウチらはカヤの外かー」
「まぁ、仕方ないねぇ……」
「残念ではありますけれど……」
先輩方。
この場の集まりでも、早々に一刀両断されて、園田家居候もポシャった上に、出番なし。
ここに集まった意味も、微妙なくらい。
「それでは、あとは学校側と沢田先生のお話になりますので、皆さんは……」
お。
話がまとまったみたい。
まだ完全には、まとまってないだろうけど。
あたしや母さん、それに先輩たちは、お役御免。
後は、先生たちに任せるしか、ね。
「では、わたしたちはこれで失礼しますね」
「はい、お疲れ様でした」
母さんが代表で、残る先生方にご挨拶して。
応接室を後にして。
靴を履き替えたら、すぐに正門。
そこで母さんが、先輩たちに。
「どうする? 家、寄ってく?」
今日も晩御飯はみんなで?
「今日は遠慮しておきますー」
「いつもいつもだと悪いですしね」
「また今度、ゆっくりと」
お。
こういう日も。
「そう、じゃあ今度また、ね」
「はい、ありがとうございます。それでは」
「またねー」
「お疲れ様でした」
などと。
ご挨拶。
押しボタン信号の、ボタンを押して。
青に変わって、横断歩道を渡る。
青信号でも、左右確認。
車が来てないか?
ちゃんと止まるか?
ここではないけど。
あちこち。
青信号の横断歩道で、歩行者が跳ねられたって。
テレビのニュースで、時々見かける。
怖い……。
だから。
玄関ダッシュで五秒も。
ちょっと、考え直さないと、いけないわね。
ダッシュ五秒であの世とか。
洒落にならんわっ!
それは、余談として。
「先輩、お疲れ様でした。また明日」
あたしも、先輩たちを、お見送り。
「ぉー、まあや、またしたー」
「またね、真綾」
「さようなら、真綾さん」
今日はまだ日が落ちてないから。
送って行かなくても、大丈夫、よね。
はふぅ。
とりあえず、一件落着?
もう一個、とんでもないものが、落着せず残ってるけど。
母さんの、
そっちは、もう少し、様子見。
あまり触れずに、そっと。
「お疲れ、母さん」
「はい、真綾も、お疲れさま、ね」
母さんと、ふたり。
東雲女子高等学校から。
数分もかからず、帰宅。
玄関の表札がふと目に入る。
「表札の下に、『園田の湯』って看板、作ってやろうかしら?」
「それ、いいアイディアね」
「うんうん、作ろう作ろう」
なんか、いつの間にか。
ものすごく、ノリノリの親子になってる?
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