受験生の面接
第228話:八時間目に校長先生来訪
焼けてしまったエリ先生のアパート。
再建に、二、三か月かかるってことで。
学校の宿直室に住む事になったエリ先生。
部屋はすっごく狭いけど、通勤時間は一分未満。
あたしん
近い、と、言うか、学校内。
いいな。
って、あたしが言ったら、先輩たちに、怒られそう。
先輩たちも、エリ先生に便乗して、あたしん
そんな、一幕。
そして、もう一幕。
母さんの、
こっちは、特に進展なく。
聞くに聞けず。
母さんが何か、話してくれるのを、待つしか無く。
ちょっと、やき、もき。
あたしにも全く関係無い話じゃないから、ね。
お父さん。
顔も知らず。
どんな人なのかも、ほとんど知らず。
いろいろと聞いた話は、あれど。
写真とかは、見せてもらってない。
見たい気もするけど、見たくないのも、ある。
それが。
母さんが、もし、結婚、したら。
もしかしたら、新しいお父さんが?
って、思うと、ちょっと、ね。
「ちょっと、真綾ちゃん、何ぼーっとしてんのよ」
あ。
ぼんやり考え事してたら。
エリ先生に、突っ込まれた。
「す、すみません、何でしょう?」
今日は、八時間目の日。
空き教室に、集合。
「だから、校長先生がお話があるって、もうすぐ来られるから、ね」
「え?」
校長先生が?
「何の話?」
「知らないわよ。わたしも一緒に聞けって感じで待ってろって言われただけよ」
あら。
「でも、校長室に呼び出しじゃなくて、校長がここに来るってどういう事かな?」
おさげ子先輩のおっしゃる通り。
「だよね。コーチョーがココ来るって、初?」
金髪子先輩も、おっしゃる通り。
「意図が読めませんけど……また何かやっかいな事を押し付けられそうな予感はしますわね……」
あぁ。
ぱっつん子先輩。
それ、ほぼ正解な気がする。
でも。
「また、って事はないと思いますけど?」
振り返ってみると。
校長先生に無理難題を押し付けられた記憶は、無い。
スラックス制服の試着とか……あぁあああ。
ある意味、押し付けられたって事かもしれないけど。
あれは、あたし等もノリノリだったし。
悪い話では、なかったかな?
と、すると。
「皆さん、お待たせしました」
校長先生、ご登場。
教頭先生も、ご一緒に。
空き教室。
なんか、すっごい違和感あるけど。
エリ先生が案内して。
席に着き。
「それでは、早速。実は、皆さんにお願いしたい事が」
ごくり。
ちらちらっと周囲を見れば。
先輩方も、エリ先生も。
緊張しきり。
あたしも。
はうぅ。
何をお願いされますやら?
「来月、当校の入学試験があるのはご存知の通りですが」
うん。
もう、そんな時期ねー。
去年の今ごろ。
中三で、受験勉強真っ只中でしたねー。
そう言えば、あの頃は、まだ。
普通の男の子、だった、ね。
「今年も、男子の募集を行っていますが、実際には……」
あ。
エリ先生と、顔を見合わせれば。
例の、話?
多分。
と。
すっかり忘れてたけど。
そんな話も、あったなぁ、と。
あの時は、先輩たちが居なかったっけ。
だから、先輩たちも、含めて、改めて。
って、事かな?
と、思ったんだけど。
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