第226話:エリ先生、旧・宿直室に住まう?



 火事で焼け出され、学校から遠くなってしまったホテル住まいのエリ先生。


 少しでも楽にならないか、と、あたしの家に下宿? 居候? できないかって。


 母さん、そして、学校へ。


 校長、教頭、学年主任の先生たちに、嘆願。


 もちろん、オッケーされるはずも、無く。


 代わりに出て来た、案。


 今は、使われていない、宿直室。


 って。


「宿直室、って、何なんです?」


 素朴な、疑問。


「あぁ、最近の生徒は知らないかもしれませんが……」


 教頭先生が、簡単に解説してくれたところによると。


 昔は、先生たちが日替わりで学校に泊まり込んで、夜間の校内の見回りとかをしていたらしい。


 一晩中、見回りをする訳ではなく、もちろん、寝床も用意されていて。


 それが『宿直室』だそうな。


「百聞は一見に如かず、見てみますか」


 と、教頭先生を筆頭に。


 ぞろぞろ、と、応接室を、出て。


 その『宿直室』とやらに、向かう。


 学校に、こんな場所があったなんて。


 全然、知られていない、場所。


 位置的には、応接室からは近く。


 用務員室の奥。


「ここが元宿直室です」


 狭っ。


 この人数で押しかけるような場所では、なかった。


 狭い扉の奥に見える、狭い、部屋。


 一応、畳敷で、ちらりとキッチンらしきものも、見える。


 ただ、畳の上、壁際には雑多な荷物が、少し置かれている。


 ほこりまみれの廃墟のような感じかと思いきや。


 狭いわりにはキレイに清掃されてる感じ?


 ここに住む事になるやもしれぬ、エリ先生と、説明係? の、教頭先生の二人が、部屋の中へ。


 他の面々は、用務員室の中から、扉の奥の二人を、うかがう。


「この荷物を片付けて、お布団や最低限必要な家電など持ち込めば、二、三か月なら、どうにかできそうかしら?」


 教頭先生は、わりとこの物件を、推している感じ?


 そりゃぁ、学生寮園田よりは、はるかに問題は少ないよね。


「そうですね、部屋自体は狭いけど、寝泊まりするだけって考えれば、充分、かも?」


 エリ先生も、この物件に対して、遜色は無い、模様。


「お手洗いはともかく、お風呂が無いのが難点ですが……」

「あぁ、部室棟のシャワーは使えませんか?」


「セキュリティの関係で、部室棟は夜間は完全に閉鎖していますから、銭湯に通ってもらうしかないかしら……」


 トイレは、校舎内のが使えると、して。


 お風呂問題。


 そこへ。


「でしたら、それこそ、うちのお風呂、使っていただければ」


 救世主、現る。


 救世主、母さん。


「ふむ……いくつか条件を付ければ、それでも問題ないかもしれませんね……校長、いかがでしょう?」


 教頭先生だけでは、判断できない内容。


「ええ。細かい部分は要調整、ですね」


 と、言う感じで。


 物件の、内見を、終えて。


 応接室へ、また、ぞろぞろ、と、戻って。


 まだ下校時刻過ぎなので。


 校内に残っている生徒に、何事? みたいな目で見られつつも。


 あぁ、またあのヒト達か、みたいな感じで。


 校長先生や教頭先生もいらっしゃるので。


 ちらっと見るだけで。


 いろんな意味で、有名人な、面々。


 また、更に、って事にもなりそうな企画イベント


 エリ先生、学校に、住む!?


 そして。


 学生寮・園田はぽしゃったとして。


 まさかの、銭湯・園田湯が浮上!?




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