第223話:母さん、マジですか? マジですか?
お鍋をつつきながら。
母さんが、やんわりと、でも、じんわりと。
エリ先生に、詰め腹。
焼け出されたエリ先生が、この家、あたしの家に居候をするための、口実。
あたしと、婚約して、結婚を前提に、同棲を、と。
なんじゃ、そりゃ感が、全開、おっぴろげ。
さすがの母さんも。
「ふぅ……婚約の件は冗談として」
わかって、らっしゃいますよね、うんうん。
エリ先生も、ちょっと肩の力を抜いて。
吊り上がってた肩を落として。
ちょっと、ほっとした、感じ。
「沢田先生がお辛い思いをされている事に対してご協力はやぶさかではないのですが……」
あたしも、先輩たちも、もくもくと、お鍋をつっつきながら。
事の成り行きを、静観。
静かに。
金髪子ミリ先輩と、ぱっつん子サクラ先輩。
それに、おさげ子ツグミ先輩までも。
お肉争奪戦の、さ中。
母さんも、ささっと、お肉をつまんで行く。
あたしは。
減った具材を、新たに投入。
お肉、多めに買っておいてよかったわ。
「さすがに、教師と生徒が同居と言うのは問題が大きすぎますよね……いくら同性とは言え」
おぉおおおおおい!
「母さんっ!?」
「あはは、冗談冗談。さすがのさすがに異性の教師と生徒の同棲とか、問題しかないよねぇ」
はぁ、と。
「デスヨネー」
エリ先生の肩が、さらに落ちる。
「だから婚約して、結婚が前提なら、って口実は確かにアリかもしれないですけど、ねぇ……」
肩が落ちるだけでなく、突っ伏す勢いで。
「デスヨネェ……」
お茶碗に顔、埋めないでください、よ?
そんなエリ先生に、金髪子先輩が。
「エリちゃんが住み込めないんなら、ウチらもダメじゃん」
と、申されますが。
母さんは。
「あなた方は論外です。だいたい、ご家族が許可しないでしょ?」
ぴしゃり。
シャット・アウト、先輩方。
の、はずが。
「一応、事情は説明して、すでに許可はもらってます」
おさげ子先輩ぃいいっ!?
まさか。
「うん、ウチもパパママシズさんにOKもらってるよー」
「わたくしも、準備は万全ですわ」
おぉおおおおおおおおおおい。
おまえらぁあああああああ。
「まじかっ!?」
「マジー」
「まじだよー」
「マジですわー」
おまえら……。
あら、やだ。
うっほん。
「ふむ……全員、なら……二階の使ってない二部屋で、二人づつとかならいけるかしら、ねぇ、
母さんまでぇえええええええ。
マテや、お前らぁああああああ。
「あぁ、でも、そうなると、やっぱり、学校にはきちんと許可、頂かないといけませんねぇ」
うんうん。
母さんがオッケーオッケーしても。
校長先生や教頭先生が。
オッケーするはずが。
ありゃしません、わ。
…………。
よね?
そんな、こんな。
お鍋パーティも、無事に、終了し。
エリ先生は、遠くのホテルへ。
三先輩方も、ご自宅へと、ご帰還。
もちろん、駅までお送り申し上げましたわよ?
男子として。
女装して、だけど。
あぁ、もう、普段着も、女物が、板に着いて、着きまくって。
夜も良い時間。
ひとりじゃ危ないかもって、母さんも一緒に。
お散歩を、兼ねて、駅までの往復。
駅でエリ先生と、先輩たちを見送って。
帰り道。
「ねぇ、真綾」
「なぁに、母さん?」
並んで歩いてると、母さんが。
「わたし、本多さんに
「え?」
「テヘっ」
てへ、って……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます