第218話:エリ先生被災翌日にもご出勤



 火災で家を追い出されたエリ先生。


 ホテルに仮住まい、らしいけど。


 学校には、来れるのかしら?


 などと、思いを巡らせつつも、あたしは普通に、登校。


 授業も、普通に。


 エリ先生の担当は二年生だけなので、授業で直接お目にかかる事は、ない。


 なので、様子は、まったく解らず。


 二年生の先輩たちなら、何か新しい情報を入手してたりするかな。


 特に、服を渡しに、直接先生に会いに行った、金髪子先輩の情報は、いかに。


 あまり細かくと言う訳にもいかず。


 昨夜の段階では。


『エリちゃんに服渡してきたさすがにしんどそう』


 と、簡潔に、事実のご報告。


 今日、エリ先生が学校に来てるかどうかも、怪しくて。


 やきもき、してたら。


 お昼休み。


『ぴこん』


 その、エリ先生からメッセージ。


 はて? 何だろう。


『放課後いつもの教室酒豪おね』


 酒豪!?


『集合』


 びっくりした。


 誤入力ですか。


 エリ先生、お酒、飲めなかったはずだし。


 酒豪は無い、よね。


 午後の授業も終えて、放課後。


 呼ばれた通りに、八時間目で使っている二年の空き教室へ。


 二年のフロアにある空き教室。


 先輩たちの方が、早い事が多々。


「まぁや来た全員酒豪~」


 もういいですって、金髪子先輩。


「ご本人は、まだですかね」


 これもいつものパターンだけど。


 先生は何かとお忙しいことも多く。


 それに、今日は、ってところもあるだろうし、ね。


 とりあえず、適当にいつもの席に着いて。


 エリ先生待ち、待機。


「昨日の今日で出勤とは……大人って大変ね」


 おさげ子先輩のおっしゃる通り。


 二、三日くらい休んでも仕方ない気もするよね。


「逆にホテル住まいの方がお掃除しなくていいとか便利なのかな?」


 金髪子先輩は、やっぱり、わりとお気楽?


「いずれにせよ環境が激変して心身共に疲労が尋常じゃない筈ですわよ」


 ぱっつん子先輩は。


 ものすごく真面目に、エリ先生の事を心配してるのが、わかる。


 あたしも。


 心配は、心配だけど。


 あたしに何ができるのか、と、悩んでも仕方ないところも、大きい。


 だから、せめて、あたしは、いつも通り、普段通り。


 なんて。


 がやがや。


 四人でとりとめのない、おしゃべりは。


 その内容はともかく。


 いつも通り、と、言えなくも、なく。


 がらっ。


「やーみんな集まってくれてるねーっ!」


 エリ先生、登……場!?


「え?」

「エリちゃんっ!?」

「何ですのその恰好はぁあああっ!?」


 八時間目の空き教室。


 入口の扉をがらっ、と、開け放ち、そこに立つ。


 顔はエリ先生なんだけど。


 首から下が。


 まさかの。


 東雲女子高等学校の女子制服。


 どこからどう見ても。


 教師と言うよりは。


 生徒。


 女子高校生。


「あ、結局、それ着て来たんだ!」


 金髪子先輩っ!?


 昨日の話の流れから、サイズから。


 金髪子先輩の予備の制服なのは、明らかなんだけど。


 いや、なに、これ。


 めっちゃ可愛い。




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