第213話:母さんは恋する乙女?
なんか、突然。
母さんと、おしゃべりタイム。
あたしが女子校に通うようになって。
女の子として過ごすようになって。
母さんとの会話も、確実に増えてたり、する。
でも、そんなに長くって言うのはあまり無い。
今日みたいに、こんなに饒舌な母さんも、珍しい。
お酒でも飲んでるのかな?
そう言えば、ちょっと赤らんだ、頬。
しかも、聞いていると。
「本多さんがね……」
母さんの、会社のヒトで、先輩、だっけ?
「本多さんからね……」
母さんも一緒にお仕事してるみたいなんだけど。
「本多さんったら……」
えっと。
他の人の話は、ほぼ、無し。
本多さんオンリー。
オンリー本多さん。
いやいや、ちょっと待って。
これって、まさか?
突っ込んでいいの?
やっぱり、突っ込まない方がいいかな。
「それで、本多さんにね……」
母上様。
そんなにも、嬉しそうに。
嬉々としてって、こういう状態かな。
あぁ……。
きゅっと手のひらを重ねて、握って。
赤らんだ、頬。
これは、まるで。
そう。
恋する、乙女ですやん。
「でね、お休みの日にもパソコンって言うか、プログラミングを教えてもらってるの」
ほーほー。
そういえば、最近、休日の午後におでかけする事が多かったわね、母さん。
パソコンを教えてもらうのは口実で、って、勘ぐっちゃいますよ?
あぁあああ。
ある意味。
聞きたくなかったかも、この話……。
うへぇ。
でも。
こんなに嬉しそうな、楽しそうな母さん。
見ていると、こっちまで嬉しくなってしまう。
いや、でも。
ちょっとまって。ちょっとまって。ちょっとまって。
え?
え?
ええええ?
本多さんって、結構なお歳じゃなかったですか?
一度だけ、ちらっとだけど
見た感じ。
うちのおじいちゃとそんなに変わらなかったような?
ってことは、もちろん、奥さんもいらっしゃるわよね?
離婚してたり、それこそ、なにかの訳があって独り身って可能性も、あるかもしれない。
そこんところも、聞いておいた方がいい?
あやや。
ある意味。
とんでも無い、お話に。
なって来てませんか、これ?
お母さまっ!?
詳しく聞きたいような、聞きたくないような。
ふわぁ。
まさかの、父親が出来るかもな話?
流れ的に、園田真綾が、本多真綾になるかも、的な?
いやいや。
待って、待って。
まだそうなるなんて結論には至れない。
あくまでも、可能性の、話として。
かと言って。
ずばり聞くのも、気が引ける。
的外れだったりしても気まずいし。
本当だとしても、母さん自身が本音を言うとも限らず。
やんわり、遠回しに聞くとして。
さて、どうやって聞けばよいやら。
それか、母さんが話してくれるのを、待つか。
いずれにせよ。
「ふわぁ、母さん、眠くなってきちゃった。そろそろ寝よ」
「あ、そうね。うん、おやすみなさい真綾」
「うん。おやすみ、母さん」
とりあえず。
一時退避~。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます