母さんと先生のあれやらこれやら
第212話:母さんとパソコン談義
女装男子大会も、盛況のうちに、終了。
みんなの女装姿を撮った写真は。
母さんには、見せたけど。
学校の人、特に先輩たちには、見せない見せられない。
見せたら大変な事に、なりそう。
しばらくして。
森本くんが制作した集合写真も完成したって事で、送られて来たので。
改めて、母さんと夕食後に鑑賞してみたり。
「へぇ、ひとりづつの写真、切り貼りして合成したのね」
「うん、森本くん、パソコンとかすごく詳しいみたいで」
「まだ若いのにすごいわね」
「うんうん」
母さんに携帯端末を渡すと、あちこち拡大して、しげしげと眺めてる。
「ふむふむ……でも、結構切り抜きの甘いところもあるわね」
「そう? よく出来てると思うけど」
「ほら、こことか」
拡大した写真の一部を表示させて、あたしに見せてくる。
言われてみれば。
髪の毛の先端の背景が少し違ってるのが、わかる。
「あと」
もう一度、端末を操作して。
「こことかも」
ちょうどあたしの服の裾のところ。
メッシュのカーディガンなんだけど、背景の画像の透け具合が全然違っている。
ぱっと見たところでは気付かないけど、少し違和感は、ある。
さらに、ここまで拡大すると、ちょっと目立つ。
「母さん、細かすぎよ。こういうのはノリよ、ノリ」
「まあね。本職でもないし、売り物のデザインでもなければ全然オッケーだけどね」
そりゃそうですよ。
別にコレを売り物にする訳じゃぁないんだし。
「お母さんの会社にこういうのすごく上手な人が居るのよ」
「へー」
と、しか。
「そうだそうだ、真綾も会った事あったわね、夏休みの合宿で」
夏の合宿……。
「あー」
あのおじさんか。
たしか、でっかいカメラを担いで、鳥の撮影とかやってた人。
「そうだ、母さんがあたしの事、『娘』とか言うから混乱してたよね、あのひと」
まぁ、あたし自身も娘みたいな恰好してたけど。
「あの後、ちゃんと説明しておいたわよ」
そんな律儀に。
「別に説明しなくても……」
「変に誤解されたくなかったし、ね」
何を、どう誤解されると言うのやら。
と、言うか、何をどう説明したのやら。
「本多さんって、そういう画像処理だけじゃなくてプログラミングとかも得意で社内のシステムとかも作ったりしてるの」
「へー」
いや、もう、へー、と、しか。
知らんがな、と、言いたいところでもあるけど。
空気を読んで、聞き役モード。
「お母さんもいろいろと教えてもらってるのよー」
それはそれは。
「
それは……。
「一応、学校でも情報処理の授業あるけど」
「え? そうなの?」
あれ?
「母さんの時は無かったの?」
「うん。無かったよ、そんなの……へぇ、今、そうなんだ」
ずっとあるものだと思ってた……。
「ちょっと教科書、見せてよ」
「あ、うん。取って来るね」
なんか妙なところに食いついて来た母さん。
部屋に戻って、情報処理の教科書を持ち出して。
「はい、これ」
「ありがと。ほぇえ、結構、分厚いのね……」
母さんに教科書を手渡すと。
早速、中身をぺらぺら。
「…………」
しばし後。
「なんかすっごい難しそうなんだけど」
「うん、まあ、ムズカシイ、よねぇ」
よく知っている部分もあるにはあるんだけど。
正直。
ちんぷんかんぷん、と言いたいところも、ある。
「こういうのは使ってナンボよ。自分で触って覚えるのが早道なのよー」
「そういうもの?」
「うん、そういうものよ。いくら習っても、実践しなくちゃ身に付かないもの」
あー。
お正月に、おじいちゃんに車の運転を教えてもらった時も。
似たような事、言われたっけ、な。
「って、本多さんも、言ってた」
ふむふむ。
そう言えば、その本多さんって。
おじいちゃんと同じくらいの年齢っぽかったけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます