第209話:川村くんをレイちゃんと二人でコーデ
男子三人で、ささっと終わるかな、と、思ってたのに。
山田くんはともかく、ミツキさんまで参戦するとは。
予想外にも程がありすぎまくり。
それでも、なんとか、あと、ひとり!
最後は、川村くん。
あたしより少しだけ背が高いけど、ほぼ、同じくらいの体格。
なので。
川村くん持参の、少し地味なお母さんの服よりも。
「それなら、あたしの服の方がいいかな」
って、でも。
「え、いや、オレは地味めのこっちの方がいいかな?」
ご本人は、乗り気でないんだけれど。
「えー、こっちの可愛い方がいいよー」
レイちゃんが、後押し。
他の男子と違って、川村くんとレイちゃんは同じ学校で仲良いからね。
気軽に、言えるんだろう、な。
それもあって、二対一。
「んまー、いいけど……」
うん。民主主義と言う名の、暴力で。
てきぱき。
さすがに五人目とも、なれば。
手際もサクサク。
なんだけど、さらに。
「これだと下半身もちょっとアレンジしたいなぁ……よし、これで」
洋服を詰め込んだトランクケースに、こんなこともあろうかと一緒に入れていたタオルを取り出して。
「ちょっと失礼」
「うぉっ!? 何すんだっ!?」
スカートをまくり上げて。
「ちょっとじっとしててねー」
パンツの中に折りたたんだタオルを詰める。
左右で一枚づつ、計二枚。
これで、ふくよかな感じにして。
「あれ?」
ふと、気付く。
ズボンを脱いだ、素足。
「もしかして、ムダ毛処理、してきた?」
そう、スネとか、つるんつるん。
「あぁ、うん、女装するなら、って、母ちゃんが」
なるほど。
ご理解深し、川村くんの、母上様。
「だったら、足はコレでいけるなぁ」
トランクケースから、さらに取り出しましたるは。
「じゃーん」
「ストッキングかー」
「そうですレイちゃん、つるつるの足ならコレでさらにソレっぽくできそう」
「うんうん」
「えー、そこまで、する?」
川村くんは、乗り気ではなさそうだけど。
「するよー、ささ、そこの椅子に座って座って」
と、座らせて。
新品のストッキングを開封して、取り出して。
くるんくるんと、巻いて縮めて。
座った川村くんの足に、履かせてゆく。
多分、男の子が、初めて自分でストッキングとか。
ちゃんと履けないだろうから、ね。
「うわぁ、なんか、すごく、なんだこれ」
うん、わかる。
「わかるわかる。初ストッキングなら、違和感あるだろうね」
レイちゃんも、ご承知の、通り。
慣れてしまえば、なんてことないし、自分でささっと履けるけど。
普段、まったく縁の無い男子だと。
履き方もだけど、履き心地も。
違和感しか、無いだろう、ね。
「はい、立って」
ミツキさんなら、『すたんだー』って言うかもだけど。
膝上くらいまでストッキングを上げた状態で、あとは、太ももから、お尻まで。
ストッキングを持ち上げて、と。
「はい、オッケー」
スカートも、降ろして。
「うんうん、いい感じいい感じ。ここはソックス無しのストッキングだけでよさそうだね」
レイちゃんの感想の、通り。
あたしも、それでいいと思う。
ので。
「じゃあレイちゃんミツキさん呼んできて」
「はいはーい」
残ったあたしと川村くん。
「なぁ、園田」
「ん? なぁに?」
「おまえホント、楽しそうだな」
んー。
「まぁ、ね?」
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