第210話:川村ちゃん!?
最終女装男子、川村ちゃん。
お化粧担当のミツキさんを呼んで来て、さてお化粧を、と。
「うぉっ、なんじゃこりゃ」
ミツキさんも、驚く程に。
完成度、高し。
あたしの、可愛い系の洋服もポイント高し。
持って来て、良かった!
「えっへん」
「えへへー」
あたし、あんど、レイちゃんの、どやー顔に。
「こりゃ腕の振るいがいがあるね」
納得の、ミツキさん。
「お、お手柔らかに、頼んます、よ?」
戦々恐々の、川村ちゃん。
「ワカッテルワカッテル、そんじゃはじめますかー」
慎重に、それでもテキパキ。
川村ちゃんのお顔に。
パフパフ、ハキハキ、ヌリヌリ、きゅっきゅ。
「おっし、ウィッグちょーだい」
「あいさー」
川村くんは、スポーツ刈り? 五分刈り? 短い髪なので。
ネット無しで、そのまんま、ウィッグ装着。
しゃきーん。
そのウィッグも、整えれば。
「これならポニテのが似合うな……まあやのしっぽ貸してー」
「あいよー」
自分の髪を解いて、エクステしっぽを外して、ミツキさんに、渡すと。
ミツキさんがてきぱきと、川村ちゃんのウィッグを後ろでまとめて、そこにエクステを
「しゃきーん! ほい、完せぇ」
後ろから、鏡越しに見える川村くん。
いやさ、川村ちゃん。
「すたんだぷりー」
ミツキさんの掛け声で立ち上がって振り返れば。
「おぉおー」
「ふわぁ川村ちゃんっ!」
あはは。
レイちゃんも。
やっぱり、そう思う、よね?
「お披露目お披露目~」
ささ、と、ばかり。
背を押して。
照れくさそうな川村ちゃんを、リビングへ。
戻るや、いなや。
一瞬。
「え?」
「おっ!?」
「なっ!?」
悲鳴のような、歓声のような声が上がったあと。
一瞬の、静寂。
「えへ?」
照れくさそうな、いや、照れくささの仕草が、また。
「くぅう、川村ちゃぁあん」
かしゃかしゃかしゃかしゃ。
「おいちょっとまて何連写してんだやめろこらおいまてまてちょっとふわぁあ」
レイちゃん、そして、山田くん、森本くん、若林くん。
それに、ミツキさんと、あたしも。
カメラモードの端末で、撮影しまくり。
「ほらほら、もっとポーズポーズ」
「えー……」
と、言いながらも。
それっぽいポーズの、川村ちゃん。
照れた仕草が、もう。
「くぅううう、イイ、イイよっ、川村ちゃん、イィっ!」
そして、特にレイちゃんのテンションが、あげあげ。
一番のお友達、だし、ね。
それから、あたしの服を貸し出して、正解、大正解。
川村ちゃんも小柄なところもあって、可愛いさ倍増。
あたしが言うのもナンだけど。
「いやぁ、撮った撮った」
「撮りまくったな」
「うんうん」
「おまえら……」
残念なのは。
「全員女装で並んで記念撮影、って、できないなぁ」
ぽつり、あたしの台詞を。
「全員分のグッズ揃える?」
レイちゃんが、拾うが、しかし。
「いいね、いいね!」
ミツキさんは、もちろん大賛成、が、しかし。
「勘弁してくれ」
「二度は無いぞ」
「もう、こりごり」
標的の男子たちからは、ブーイング、ただ、しかし。
「……」
川村ちゃん?
さっきまで、恥ずかしがりながらもそれっぽいポーズをしていたのに。
一気に、テンション最下層。
川村ちゃんも、やっぱりイヤ、かな?
まぁ、そら、そうか。
あたしやレイちゃんと違って。
女装する意味や意図が、全く無いもんね。
「じゃぁ、そろそろいい時間だし、撤収しますかー」
はーい。
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