第208話:ワンピースに白タイツの若林くん



 森本くん、山田くん、それにミツキさんの女装(?)を終えて。


「ほい、お着換え終了~。次、どっち?」


 残るは。


 若林くん、川村くん。


 女装に向いているのは、小柄な川村くん。


 逆に、若林くんは仲間内でも一番背が高く、おばさんまっしぐらに難くない。


 結局。


 ジャンケンで負けた、若林くん。


「くぅ……しょうがないな。よろしく園田、菅原」

「はーい」

「はい、こっちね」


 お着換え部屋へと、ご案内。


 てきぱきと上半身を脱がせて、ブラと上げ底を装着。


 若林くん持参のキャミソール、それにワンピースを着せてゆく。


 特に違和感なく、すっぽりと。


 逆に、それが違和感。


「こんな大きいサイズの、よくあったね……」


「あぁ、イトコにオレと同じくらいでっかいヤツが居て、そいつから借りてきた」


「ほうほう……なんて言って借りたのやら?」


「学校の関係で新年会みたいなのがあるって事にして、そこで女装するハメになったって感じで、まるっきりのウソでもないだろ?」


 完全なウソではないし。


 時期的に、これも新年会と呼べなくもない?


「それでもよく貸してくれたね」


「写真撮って見せろとは言われてる……」


「あはは」

「そうなるよねぇ」


 などと言いながら、お着換えコーデ。


「っと、スラックス脱いでね」


「おぅ」


 ワンピースのスカートの中に手を入れて、ベルトを外してスラックスを脱ぐと。


「んんー、足、どうしようか?」

「ちょっと目立つわね」


 ワンピースのスカートが、そんなに長くなくて。


 ひざ下から、スネが見えてしまう。


「あ、これがあった」


 若林くんが持参のカバンの中から取り出しましたるは。


「おぉ、白タイツ」

「準備万端だね」

「あぁ、そのイトコが見繕ってくれた」


 なるほど。


 スカートの丈から、足が出るのがわかってて、スネを隠すために、だよね。


 薄いストッキングじゃなくてタイツにしてるところも、解ってる感。


 良いイトコさんですね。


 とまあ。


 サイズの合ったお洋服があった事もあって。


 お着換え自体は、スムーズに。


 お化粧も、ミツキさんが手際よく。


 最後に、ウィッグを装着すれば、完成。


 そして、リビングに戻っての、お披露目。


 ワンピースも明るめの色で、普通に女子が着れば可愛い系なんだけど。


 やっぱり、顔つきとか、男くささが残ってしまって、どうしても。


「やっぱり、おばさんチック?」

「中でも一番若いおばさん?」

「あんまり変わらない気もする」

「とりあえず、写真写真」


 撮られる方は、針のムシロ。


 早く終わらせてくれ、と思ってるだろうな。


 それにも関わらず、色々とポーズを要求する、撮影者たち。


 自分もやられたから、って言うのもあるだろう。


 仕返し、怖っ。


 でもまあ、そこまで粘着するでなく。


「よし、もういいだろ、終わりだ終わり、次最後、川村な」


「わかってるよ」


 と、交代の、儀。


 の、前に、若林くんの女装を解いて、と。


 入れ替わりに、川村くん。


 川村くんは、四人の中では、一番小柄。


 まぁ、あたしを入れた五人だと、あたしが一番ちっちゃいんだけどね。


 あたしの女装がそこそこ似合ってくれてるのは。


 この身長のおかげも多々。


「園田、それに、レイ……お手柔らかに、な?」

「はーい」

「はいはーい」


 さて。


 総仕上げ?



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