第189話:雪人さんご一家に年始ご挨拶



 さて。


 ミツキさんと山田くんは、もう帰っちゃった、かな?


 女装ショップと言うか、少女向けファッションショップと言うか。


 『YUKIユキ』と『YUKITOユキト』。


 ふたつでひとつ。


 一軒で、二軒。


 あたしとレイちゃんが載ってる、ショップのカタログを。


 入手すべくと、突撃していたミツキさん。


 と、山田くんの、初々・ラブラブ・カップル男女。


 カップル男女って。


 まぁ、昨今。


 カップル女x女。


 カップル男x男。


 なんて、のも、アリっちゃ、アリ。


 カップル女装男子x女装男子、とか。


 あたしと、レイちゃんとか。


 それは、無い、と、して。


「明けましておめでとうございます、旧年中はとってもお世話になりまして本年におきましても何卒よろしくお願い申し上げます」


 YUKITOさんにて、先ずは新年の、ご挨拶。


 したらば。


「あけおめーまぁやたんっ!」


「コラ、アキラ、ちゃんとご挨拶しなさい。そんでもって真綾ちゃん、固い固い。あけましておめでとう、今年もよろしく、ね」


 雪人さんとアキラくんの母娘おやこ


 相変わらず、キレイ&カワイイ、母子おやこ


 特に今日は、ふたりとも。


 振袖!?


 すごぉ……。


 あたしも、着てみたい、なぁ……。


 と。


 圧倒されてたら。


「あはは、真綾ちゃんあけおめことよろー」


 あぁ。


 アキラくん、方のお母さん……アカネさんの影響を受けまくってる?


「あけましておめでとうございます、アカネさん。事紐よろしく、です」


「コトヒモ?」


 あぅうう。


 舌が回らず……。


「うぅ、今年も、よろしく、です」


「あはは。真綾ちゃんカワイイーことよろことよろー」


 きょろ、きょろ。


 お店を見渡してみても。


 山田くんも、ミツキさんも。


 いらっしゃい、ません、ね。


「っと、アキラ、何処行くの?」

「ママのママとパパのおかぁさんとこー」

「あぁ、うん、呼んで来てくれる?」

「あぃっ!」


 てこてこ、と、女装ショップの方から、少女向けショップの方へ向かうアキラくん。


 パパのお母さん……雪江さん。


 ママのママ……美里さん。


 か。


 ママのパパと、パパのお父さん、アキラくんのお祖父さんは。


 いらっしゃらないのかしら?


 それより。


「えっと、さっき、あたしの友達……男女のカップルが、お騒がせてませんでした?」


「あぁ、あの二人。さっきまで居たけど入れ違いだったね」


 やっぱり。


 特に連絡入れてなかったし。


 まぁいいや。


 どちらかと言えば、年初の、ご挨拶が、本分。


「あらあらぁ~、真綾ちゃぁん、明けましておめでとうよ~」

「あけおめ真綾ちゃん」


 アキラくんに連れられて、お婆ちゃんズが来られました。


 お婆ちゃんと呼ぶには若すぎる。


 なので、ママのママとか、パパのお母さん、って呼んでる、呼ばせてるんだろうなぁ。


「雪江さん、美里さん。明けましておめでとうございます。旧年中は……」


「あー、固い挨拶はいらんいらん」


 美里さんに阻まれて。


「ことよろだよ真綾ちゃん!」


 美里さんの勢いにのまれて。


「あ、あ、はいっ、ことよろです!」


「うんうん、今年もよろしくねぇアルバイトも頑張ってもらわないと~」


 雪江さんは、おっとりだけど、丁寧だよねぇ。


 さすが、雪人さんのお母さま。


 その雪人さん、と、言えば。


 苦笑。


 にが、わらい。


 あぁ。


 ご苦労様、です。


 この女性たちに囲まれて。


 ホント。


 ご苦労様、みたいですね。


 その、雪人さんが。


「そうだ真綾ちゃん」

「はい?」


「そのお友達のカップル、女装グッズ買ってってくれたよ」


 え?


「えぇええええ!?」



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