第173話:先輩たちにも去年の事を聞いてみよう



 クリスマスを迎えて、学校の方はすでに冬休みに、とちゅにゅう。


 とちゅにゅう、じゃ、なくて、突入、か。


 今日、先生に会ったのは例外として。


 あぁ……。


 母さんと一緒にお風呂に入ったのも、超・例外として。


 お風呂からあがって、自室でくつろぎ中の、今。


 先輩たちに直接会うのは難しい、と、しても。


 連絡先が分かっていれば、気軽に連絡が、取れたりする。


 八時間目のグループチャットがあるし、ね。


 ただ、相手の状況もあるので、返答返事がすぐ来るかどうか、は、別として。


 あたしが居なかった、過去の東雲女子高校。


 過去の、しの女の、状況。


 母さんの話は、ちょっとアレだったけど。


 母さんがぶっ飛んでたって話で、他の人たちは?


 今ひとつ、ピンと来なかったし。


 去年の状況。


 今、二年生の八時間目の先輩たちが、一年生だった、去年。


「先輩方にご質問」


 とりあえず、応答は気にせず、質問を投げておこう。


 今日はイブだし、皆さん、ご家族でのイベントの真っ最中、の、はず。


「あたしが居なかった去年と、あたしが入学した後って、学校の雰囲気、変わったりしてます?」


 と。


 はふぅ。


 携帯端末を枕元に放り投げて。


 ベッドにぽふっと横になって。


 いろんな意味で、のぼせそうになった、母さんとの入浴。


 そこで聞かされた、母さんの昔話。


 と、言うか、ずばり、あたしの出生秘話。


 概要は以前にも聞かされていたけど。


 聞きたくなかった半面。


 詳しく知れて、よかった、とも、思えなくも無くもない。


 どっちよっ!


 うーん、複雑。


 でも。


 あたしの父親が、どうして失踪してしまったのか?


 母さん自身にもわからない。


 ただ、あたしを身籠ったのが判明した直後に居なくなった、って、事らしい。


 つまり、失踪してから、すでに十五年以上。


 もうすでに『亡き者』として扱われているらしい。


 その人が、何処で、どうしているのか?


 どうなったのか?


 それは、誰にもわからない。


 だから、もしかしたら?


 なんて。


 いろいろと、想像して、考えたりもしちゃう。


 本当は、全然悪い人ではなくって、何かの事件とかに巻き込まれて……。


 どうなんだろう……。



 なんて、考えても、出ない答え。


 だから。


 居ない人の事は、考えないように、するしか無い。


 母さん自身も。


 身から出た錆、的な側面もあって。


 多くを語る事は、できないんだろう、な。


 幸いなことに、今の両親……あたしの、義理の祖父母のおかげもあって。


 それより!


 そうよ。


 母さんの、実の両親の方が、ひどいと思う。


 母さんにも非があるとは言え、勘当しちゃうなんて。


 ひどすぎる、よね。


 会った事はないけど。


 一度、文句を言ってやりたい気も、する。


 うぅううん。


 なんか、頭の中が、ぐるぐるしてる。

 

 はふ。


 ぐるぐるしたまま。


 眠りに。



 落ちる。




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