第174話:女子もするんだ・・・



 寝る前に、グループメッセージに送ったメッセージ。


「あたしが居なかった去年と、あたしが入学した後って、学校の雰囲気、変わったりしてます?」


 すぐに返答は無いだろうし、ってことで、とっとと就寝の、イブの夜。


 明けて、クリスマスは、当日の朝。


 あたしが休みだから、朝食も作って、母さんと食べて。


 仕事に出かける母さんを見送って。


 洗濯やら掃除やら、家事を片付けて。


 のっそりと、部屋に戻る。


 部屋のカーテンを開けて外を見ると。


 冬の冷たく、澄んだ空気の向こう。


 東雲女子高等学校の、正門。


 その向こうに見える、校舎、グラウンド。


 少し視線を右に寄せると、講堂……体育館。


 母さんの母校でもあり。


 その名の通り、女子高校。


 なのに、何故か、ひとりだけ、男子のあたしが。


 男子のあたしがって言うのも、めちゃくちゃ変だよね。


 もう、笑っちゃう。


 入学する前とか、入学した直後とか。


 鳥肌ものだったのに。


 変なの。



 とか。



 とか。



 ぼぉっと、していたらば。


『ぴこん』


 って。


 端末から、通知音。


「お」


 枕元に放置してあった携帯端末を持ち上げて。


 ロックを解除して。


 メッセージを、見てみる。


『去年の学校の雰囲気ねぇ』


 おさげ子先輩。


『言われてみればなんとなく去年より静かな感じになったような気もしなくはない』


「中原先輩ありがとうございます。微妙、ですね」


 劇的な変化、までは無いってことよねぇ。


 そりゃ、そうか、って感じ。


 そして、しばし。


 冬休みの宿題なども片付けつつ。


 お昼に、ご飯は朝の残りを温めたり、一品追加したりで、軽く摂ってたら。


『ぴこん』


 テーブルの脇に置いてあった端末が、鳴るるん。


『眠いよぉー』


 金髪子先輩、夕べは遅くまで?


 でも、続けて。


『ある意味真綾ちゃん効果で騒がしくなった分去年は静かだった感』


 あぁ、なるほど。


「あぁ、なるほど」


 それは、ある、よねぇ。


 昼食も終えて、午後からは宿題の、続き。


 年末年始はのんびりしたいし。


 早めに済ませておこう。


 てき、ぱき、と。


 宿題を進めていたらば。


 勉強机の上の端末が、また。


『ぴこん』


 お鳴きに、なられる。


 ぱっつん子先輩、かな?


 見てみる。


『そうね、なんとなく全体的にみんなお淑やかさが増した感じはあるかも』


 エリ先生だった。


 エリ先生も、あの後、夜通しルミさんカナさんと騒いでたんだろうな。


 今、起きたのかも。


「ふむふむ」


 先生は、先輩たちと違って、いろんなクラスで授業をしてるから全体的な雰囲気を感じる事ができるんだろう、な。


 それから。


 一番、寝坊助さんの、ぱっつん子先輩が続けて。


『確かにお下品な会話が減った気はしますわね』


 そこっ!?


 でも。


 そこ、かなり大きい、かも?


 男子校に、いきなり女子ひとり、とかの状況に置き換えて考えてみると。


 エロい雑談とか、控えるようになるだろうし、ね。



 と、言うか。


 女子も、するんだ、そういう話……。


 聞いた事が無かったのは、そういう事、か!



 なるほど!


 で。


「で、どんな話、されるんです?」


 ちょっと、興味、アリ。


『聞く? それ?』

『さすがにそれはちょっとアレがアレでダメですわ』

『セクハラまひたセクハラセクハラまあや』


 うぉっ。


 さすがに、マズかった……。


 おさげ子先輩、ぱっつん子先輩、それに、エリ先生。


 そして。


 金髪子先輩が。


『んー週に何回スるとかそういう話?』


 巨大な、爆弾。


『何真面目にぬかしとんじゃこのスカタンっ!』

『あぁあああ、ここだとほっぺツネできないじゃないですのおおおおおお』

『改行で消せっ
















 おさげ子先輩とぱっつん子先輩の、煙幕?


『よし小坂さん明日学校集合ねお説教よ』


 エリ先生も、金髪子先輩へ爆弾返し。


『えー』


 あぁ。


 これが。


 本来の。


 女子校の。


 ノリ。



 なのかな?



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