第168話:クリスマスだし勝負下着は定番



 ピザ・パーティ、と、言う名の、クリスマス・パーティ。


 一応。


 クリスマスっぽく、チキンもあって、箱の飾りつけとかも、クリスマスモードっぽい感じ。


 ふむふむ。


 食べるにあたって。


 衣装が汚れちゃいけないって事で。


 着替えるのか、と、思いきや。


「はーい、これ、着けてね」


 渡されたのは。


 エプロン、と言うか、前掛け?


 これまた、それぞれのキャラクターの色に合わせてある。


 芸が細かすぎますよ、エリ先生。


 しかも、そのエプロンを装着した状態で、元の衣装と違和感が無いようにデザインされてるし。


 ただ、一点、違和感のあるところ。


 エプロンと言うよりは、衣装の方。


 胸に大きな上げ底のパットが入っているから。


 手元が見えにくい……。


 大きなヒトって、大変なんだなぁ。


 ふ、と、ぱっつん子先輩を思い浮かべてしまったけど。


 うん、大変そう。


 そして。


「食べよう食べよう」

「いただきまーす」

「いただきます」


 はじまる?


 パーティ。


 ただの会食、と言う気もしなくはないけど。


「いただきます」


 あたしもとりあえず、いただきましょう。


 ピザを頬張り、頬張り。


 もぎゅもぎゅ。



 今日は、いきなり撮影会に突入したので。


 いろんな疑問があったけど。


 食べながらのお喋りで。


 エリ先生と、ルミさんカナさんの関係とか、色々、お伺い。


 どうやら、大学の同期らしく。


 コスプレ趣味を通じて仲良くなったらしい。


 エリ先生も含めて、中学、高校時代からコスプレをやってたそうで。


 カナさんのこのお宅でよく撮影会とかやってるんだって。


 ふぉお。


 なんか、すごいや。


 そして、もう一点の、疑問。


(そう言えば、先生)

(ん? 何? どうしたの、急に小声で)


 耳元で、コソコソ。


(可愛い下着の件)

(あぁ)


 何の意味があったのか?


 さすがに、下着姿の撮影会とか言われたら。


 帰る、よ?


(クリスマスだし、勝負下着? は、定番?)

(疑問形、ですか……)


 勝負って、何の勝負をしようとおっしゃられるやら。


 しかし、深い意味は、まったく無かった模様。


 一瞬、上着を剥ぎ取られて。


 下着姿を晒される恐怖もあったけど。


 さすがに、教育者ともなれば。


 そんなお下品な事は、されまい。


 いや、これ、教育者とか、関係ないか。


 一般的に考えれば、ね。


(真綾ちゃんの下着姿……)

(見てみたい、わね!)


「あ」


 エリ先生と、小声でやりとりしてたつもりが。


 ルミさんと、カナさんに。


 筒抜けだった、模様……。


 うぇえぃ。


「可愛いの、着けて来てって言っておいたから、可愛いの着けてるはずよ」

「ほぉほぉ、どんなン、かなぁ?」

「見たい見たい見たいっ!」


「ちょぉっ、ちょっとぉおおおおおお」


 一般的、教育者、何処行ったぁあああああああ。



 あ。


 もしかして、先生方……お酒アルコール、入っちゃって、ます?


 と、思って、ロウ・テーブルに置かれた飲み物を見渡してみるけど。


 うん。


 ノン・アルコールの、普通のジュースやお茶系ばかり、ですよね。


 と、言うことは。


 これが素のテンションっ!?


 怖っ!


「セイなる夜、って、言うくらいだからねぇ」

「セイなる、夜……」


 聖なる夜。


 聖夜。


 聖夜クリスマス


 ?


 でも、なんか、発音と言うか、言葉の区切りが微妙に、違う気もするけど。


 何の話かしら?


「アタシたちには縁遠い世界では、あるけどね」

「焦りたい気持ちも山々ながら!」

「え? 結婚、したいの?」

「結婚以前に恋人は?」

「コスプレが恋人よっ!」

「そこは生徒たちみんなが恋人って言っておくべきじゃない?」

「うーん、どっちにしろ、やっぱ、いろいろ無理かぁ」


 先生方。


 盛り上がって、おられます、ね。


 フライポテトをかじかじ。


 オレンジジュースをちびちび。


 下手に、首は突っ込まない方が、いいよ、ね?





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