第128話:文化芸術祭へ向けて
「で、園田さんのクラスは総合優勝だったんだ」
「はい、おかげ様で」
金髪子先輩の、お陰なのが、大きいとも言える。
「えっへん。ウチを崇めよー」
「ははぁ」
盛大に、頭を下げて。
久しぶりの、八時間目の、授業。
実質、放課後に空き教室でダベってるだけ感も、強いけど。
「わたしたちは鳴かず飛ばず、だったけどね」
「ですわね。所詮はただのスポーツ大会。一位になったところで何があるわけでもなし、ですけれど、ね」
まぁ、ぱっつん子先輩の、おっしゃる通りではありますが。
そのぱっつん子先輩も借り者競争に出てたけど、イマイチだったらしい。
最後の競技『借り者競争』で、福富さんとあたしが、健闘。
総合上位が自滅してくれたのもあって。
優勝!
大会終了後。
クラスに戻って、プチ祝賀会で。
みんなから歓迎されて。
いやいや、あたしや福富さんだけの成果じゃないでしょ? って。
でも、やっぱり最後に見せ場的に目立ったコトもあって。
「それより、コレよ、コレ、何よ、コレ」
あ。
「園田さん、めちゃくちゃ可愛いじゃない」
「ゴスロリドレスがこんなにお似合いなんて、素敵ですわ」
先輩の評価は、まぁ、ともかく。
「あぁ、これ、現物お持ち帰りして部屋に飾りたい……」
先生ぇ!?
一応。
例のカタログ冊子、YUKIの季刊誌? を、エリ先生と先輩たちにも見てもらったんだけど。
こういう状況。
「レイちゃんも可愛いし、双子コーデの白黒のコントラストもいいわね」
おさげ子先輩の、評。
「むぅ、これは、ウチらも負けてられん、な」
「ええ、そうですわね。わたくしたちも男装のレベルをもっと上げないと」
「こんな可愛い
結局、そっちに流れるんですね。
と、言うか、まだ引っ張てたんだ、男装……。
パンツ(トランクス)も買ったって言ってたもんなぁ。
「ふむ……」
ん?
エリ先生が、何やら。
「だったら、次の『文化芸術祭』でお披露目、する?」
「え?」
え?
「どういうことですの? エリ先生」
ぱっつん子先輩が、皆の疑問をそのまま先生に返す。
「この八時間目の授業の成果? の一環、みたいな感じで女装男装の写真展示なんて、どう?」
はぁ?
「ふむ……なるほど」
「それ、良いかも」
「ええ、いいかもしれませんわね」
せんぱぁあい!?
「そもそも、文化芸術祭って、文化祭とどう違うんです?」
先生はもちろん、二年生の先輩たちも知ってるだろうけど。
聞きなれない『文化芸術祭』とは?
「この間の体育大会を推して知るべし、って感じかしらね」
あぁ。
エリ先生の言葉から察するに。
『祭』を冠しているとは、言え。
いわゆる、お祭りではなく。
「日頃の勉強の成果、特に芸術的な作品を発表する場、って感じね」
おさげ子先輩が追補してくれる。
だと、したら。
「模擬店とか、ライブとか、そういうのは無いってことです?」
「ないわねぇ。ライブの代わりに講堂で吹奏楽部の演奏とか合唱部とかの発表はあるけど」
なるほど。
さらに金髪子先輩も補完してくれる。
「クラス発表もテーマ別の研究発表だったり、作品展示だったりだしねー」
なるほどなるほど……。
そして、エリ先生の、トドメの一撃。
「体育大会と同じで、外部参加は一切なし、だからね」
はい。
想像していた、高校ライフのイベントのイメージが。
ガラガラと音を立てて、崩壊。
でも。
そう言われてみれば『地域の住人を招いて』みたいなイベントも無かったよねぇ、しの女って。
体育大会も平日だったし、その文化芸術祭もおそらく平日開催なんだろうね。
あたしも小学校、中学校に通ってたから、見たこともなかった、ってコトか。
なるほど……。
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