第61話:夏合宿、はじまりはじまり



「海だぁ!」

「海ですね」

「海……」


 夏休み!


 期末テストを難なく乗りこなし。

 みんなのお休みを調整して。

 八時間目のメンバー、プラス、うちの母さんでワゴン車に乗り込んで。


 運転は、なんと、金髪子先輩んの、シズさん!?


 家の仕事は?


 と、聞いたら、家の方は別の人がカバーしてくれるとか。


 まぁ、金髪子先輩が居なければ、ご両親はほぼ自宅に戻られる事が無いんだとかで。

 そっか、お手伝いさんが居るとは言え、ほぼ一人暮らしなのか。

 そういう意味では。

 シズさん同行は保護者的な役目もあるか、と。


 保護者と言う意味では。

 エリ先生に加えて、ウチの母さん。

 休みが合わなさそうだったけど、伝家の宝刀『有休消化っ!』で無理やりに。


 シズさん運転のワゴン車で走る事、数時間。

 やって来ました、海。

 海岸にある金髪子先輩んの別荘。


 別荘を持ってるってのも、すごいけど。

 聞けば、その別荘にはプライベートビーチもあるってことらしく。


 二泊三日の、合宿。


 そう、あくまでも、合宿。


 何の?


 八時間目の課外授業。


 何故か、お料理教室……。


 まぁ、母さんやシズさんも居るし。


 わいがや、楽しめそう?


 楽しめそう、と、言えば。


 海!


 海水浴!


 プライベートビーチで!


 すご。


 これには母さんも大喜び。


 もともと、お揃いの水着を買って、ふたりで、と、考えていたけれど。

 すでに先輩方、先生とも面識もあり、仲良くもなっていて。

 是非、ご一緒に、と、同伴。

 さらに、料理教室の講師の役目もあって、一石二鳥。



 別荘へ到着し、ガレージにワゴン車を停めて。

 それぞれ荷物を抱えて、別荘の中へ。


 金髪子先輩の自宅もすごかったけど。

 この別荘も、相当?


「では、お部屋にご案内致します」


 ぞろぞろ。


 吹き抜けのリビングから、階段を登って。


「お嬢様方は、こちらのお部屋です」

「はーい。ありがとう、シズさん」


 一番奥の部屋が、三先輩の部屋。


「先生とお母さまはお隣で、私もご一緒させていただきます。それから……」


 その隣が大人部屋で、さらにその隣。


真綾まあやさまは、こちらでおひとりになります」


 ん。


 男ひとり。


 さみしくもあるが、気楽でもあるし、それ以前に。


 女子と同室は、あり得なかろう、て。


「じゃぁ、荷物置いて、着替えてビーチ集合ねー」


 金髪子先輩が、仕切る。


 一応『合宿のしおり』の予定通り。


 早朝に出発して、お昼はサービスエリアのレストランで済ませて、午後いちに別荘到着。


 夕方までは、フリーで遊べる。


 ちなみに、お料理教室は、夕方から。

 そのまま、作った料理で夕食の、予定。


 ウチも部屋に入って、荷物を広げて。


 『こんなこともあろうかと!』


 あらかじめ予想して用意しておいたに着替える。


 女装専門ショップのユキト店長さんに相談して、おススメの水着とかを見繕ってもらって。


 ふふふ。


 みんな、驚くだろうな?




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