第56話:エリ先生とエプロンを買い出しに



 ぱっつん子先輩にだけではなく。


 金髪子先輩とおさげ子先輩にも、料理を、と。


 学校で、家庭科室を使って。


 いや、まだ来週になってからエリ先生が、家庭科室が使えるかとか確認が必要なハズなんだけど。


 ウチに集まった土曜日の翌日の日曜日。


 お揃いのエプロンを買い出しに行こう! って事になったは良かったんだけど。


 日曜午後。


 駅に集まったのは、ウチとエリ先生のふたりきり。


 三先輩は、と言うと。


『ごめーん、急にパパとママが帰って来て食事に行くことになっちゃった~……』


『すみません、急に親戚の人が来て、家にいなくちゃいけなくなったので……』


『申し訳ございません。少々体調が優れず、外出が困難になってしまいましたので……』


 八時間目のグルチャに、そんなメッセージが。


「どうしましょう?」

「どうしましょうかねぇ……」


 エリ先生とふたり、呆然としたら。


『おふたりにお任せしますので、いい感じのエプロンを揃えていただければ』

『頼んだ~』

『すみませんが、お願いします』


「……ですって?」

「ぉぅ……」


 先生とふたり。


 休日、日曜日の午後に、街でショッピング。


 ぉぉう?


 ぴろろ~ん。


 一瞬、固まってたら、追加のメッセージ。


『フリフリの、カワイイのがいいな~』

『色は青がいいかな』

『え? エプロンと言えば、白じゃありませんこと?』

『制服が白だから、白だと微妙じゃない?』

『なるほど……でしたら、わたくしは、黒でしょうか?』

『ウチは黄色がいいな~』


「先生は何色がいいです?」

「うーん……」


『先生は水色がいいな~』


 直接答える代わりに、チャットで答えるエリ先生。


 しゃーないなぁ……。


『じゃぁ、同じデザインで色違い、で、探してみますか』


 ウチもチャットにメッセージを送る。


『ちなみに、園田さんは何色希望?』


『ウチは緑、かな』


 はぁ……。


 えっと。


 ぱっつん子先輩、黒。

 金髪子先輩、黄色。

 おさげ子先輩、青。

 エリ先生、水色。

 ウチ、みどり。


 金髪子先輩の黄色は微妙だけど、赤やピンクの暖色系が無いね。


 ウチは、まあ、先輩方と被らない色なら別になんでもいいけど。


 色としては、青とか緑とかが好きだなぁ。


「って言うか、ふりふり……フリル付きで、こんなカラーバリエーションの揃ったエプロンって……探せますかね?」


「どうだろう?」


 先生もぱっとは解らない、か。


 それ以前に。


「エプロンって、どこで売ってるんでしょうね?」


「さぁ?」


 ぉーい、せんせーぃ。


 仕方がない……。


「ちょっと調べてみますね」


 携帯端末でブラウザを立ち上げて、検索ボックスに『エプロンはどこで売ってる?』と入力して。


「普通に洋服屋さんとかで売ってるみたいですね」


「じゃあ、洋服屋さんを回ってみる?」


「そうですね。それ以外にもホムセンとかにもあるみたいですけど、ホムセン、ここらに無いですしね」


 とりあえず。


 電車に乗って数駅。


 大きな街へと移動して、駅前のビルに入っている洋服屋さんを見てまわる事に。


 エリ先生と。


 ふたりで……?




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