第57話:エリ先生とエプロン捜索からの制作
「無いね……」
「無いですねぇ……」
エリ先生とふたりで、駅前のショップをあちこち。
周ってみたものの。
思うエプロンには、出会えず。
エプロン自体は、もちろん売ってるんだけど。
「フリフリでお揃いの色違い……」
「条件が偏り過ぎ、ですよね……」
フリフリはあっても、白と黒だけとか。
カラーバリエーションはあっても、フリフリが無いとか。
「ちょっとそこで休憩しながらネットで検索してみようか」
「ですねぇ……」
近くにあった、ファミレスに突入。
「いらっしゃいま……せ?」
店員さん。
ウチの姿を見た瞬間に、
ハイ、すみませんね。
『しの女』の制服ではありますが。
中身が、中身なので。
驚かれた模様。
遠目にはわりと気付かれないけれど。
目の前で目の当たりにすれば、その違いに気付くだろう。
まぁ、一般的な反応としては、然り。
「に、二名様ですね、お好きな席へどうぞ」
二人がけの席に対面に座って。
飲み物を注文して、それぞれ検索。
「あぁ、やっぱり、ネットで調べればすぐに出てくるね」
「でも、これ、色が……」
ウチの指定の緑色が、無い。
代わりに、三先輩と先生が選ばなかった赤系の色が、ある。
「園田さん……赤かピンクでもいい?」
「いや、それは……」
女子の先輩方や先生が、なら、解かるが。
ウチがピンク? 赤?
やめてー。
それでなくても、ってのもあるし……。
いや。
それだから、こそ、って考え方も、無くはないのかな?
でも、ねぇ、やっぱり。
「うーん……」
エリ先生も、ウチも。
思案、しきり。
しばし
エリ先生が、ぽつり。
「しょうがない……作るか……」
え?
「作れるんですか!?」
「あ、うん。他の四色を買えば、それを元に真似して作ることは出来ると思うよ。よっぽど複雑な製法じゃ、なければ、だけど」
「いや、それ以前に、先生って、裁縫とか出来るんですか?」
失礼とは思いつつも、ちょっと驚き。
「ふっふっふ……まぁ、そこそこ、それなりには」
料理が出来ないって事だったので。
家事全般、家庭科全般、不得手だと思ってしまうのは先入観?
いや、まて。
裁縫ができるってことは、もしかして、もしかしたら……。
確かめたいのは山々ながら。
いらないボタンを押してしまうかも、と、思いとどまる。
ここはスルーがベターな選択か。
「なるほど。じゃあ、先輩と先生の分は通販で買うとして、届いたら、それを参考に、ウチの分を作ってもらう、と」
「うん。この値段なら、追加の生地分含めても予算内に収まりそうだし」
生地の値段がささっと試算できる
「んじゃ、発注も含めて、お願いしてよいです?」
「りょーかーい」
一応、メッセージアプリのグループチャットで先輩方にも状況を報告。
『え? 先生、裁縫できるの?』
『できますの?』
『できるんですか?』
うん。
先輩方も、ウチと同意見、同見解。
「むぅ、失礼ねぇ……」
先生はむくれてはいるけど。
得意な技を披露できる、と。
若干。
いや、かなり。
嬉しそう、では、ある?
しかし、まあ。
結局この集まりはなんだったんだ状態でもあるんだけど。
しばし、くつろいだ後。
「さて、この後、どうしよっか?」
え?
用は済んだし。
解散、なのでは?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます