第44話:このデートに意味はあるのか?



「さて、それでは私はそろそろ夕食の準備がありますので」


「えー、シズさん、勝ち逃げは許さんよー」


 シズさんは、強かった。


 『デキるお手伝いさん』それも、かなり。


「いけませんわ、お嬢様。奥様……お母様にいいつけますわよ?」


「あぅ……」


 金髪子先輩、お母さんには弱い?


 お父さんからは甘やかされてそう、だよなぁ、なんとなく。


「それでは、失礼いたします」


 そそくさ、と、去るシズさん。


 いや、強かった。


「初めてであの強さは反則ぅー」


 おっしゃる通り。


 って、ゆーか。


「やっぱり、居たんじゃないですか」


「最後の最後にお見送りで出て来る予定だったんですけどね」


 エリ先生……。


「シズさんにコテンパンにやられる二人が見てらんなくてねぇ」


 おさげ子先輩……。


 そこ、ですか?


「その前の時点では出て来なかったのに?」


 金髪子先輩にしていた時点。


「園田さんが本気でミリィに悪戯イタズラするとは、思えませんでしたからね」


 ぱっつん子先輩……。


 先生とおさげ子先輩も激しく同意している。


 それはまぁ、いいとして。


「隠しカメラはいずこ?」


「ん? このタブレット」


 テレビとか照明、ブラインドとか、室内の電気製品をコントロールするタブレット。


 そう言えば、操作する時以外はテーブルの上に立てかけてあったなぁ。


 全然、隠されてなかった……。


 これなら音声も筒抜け、か。


 シズさんと三人、ゲームで対戦してて、シズさんが勝ちまくり。


 ウチも金髪子先輩も泣きそうになってたところに。


助太刀スケダチするわよ!」


 と、殴り込んできた三名。


 まぁ、結局、シズさん最強で、全滅だったですが。


 わいわい、と、さすが大人数で。


 それなりに楽しめた?


 そんな時間は、過ぎ。


「さて、そろそろお開きの時間かしらね」


 何故か仕切り出す、エリ先生。


「えー。せっかくだし、もうちょっと遊ぼうよー」


 ごねる金髪子先輩。


 んが、しかし。


 他の三人に諭されて。


「本日の課外授業は、これまでっ」


 仕切った先生のシメの合図で、解散となり。


 家がすぐ近所のおさげ子先輩とぱっつん子先輩とも別れて。



 エリ先生とふたり、最寄駅まで。


 てくてく、と、歩いているなかでエリ先生が。


「どうだった? なんか、得るものはあったかしら?」


 一応、授業、って?


「んー、どうでしょうねぇ……あ」


 そう言えば。


「大里先輩もたいがいお嬢様風の口調ですけど、シズさんはさらに上品でしたねぇ」


「そこ!?」


 いや、まぁ、だって、ねぇ……。


 でも、それより、やっぱり解せないのは。


「ウチの事は、まあいいとして、先輩方はどうなんでしょう?」


「何が?」


「男に慣れて無いって言いながら、ウチにはだいぶ慣れた感じ、ですよね?」


「あー……」


 エリ先生、返答に困る?


「まぁ、わたしもそうだけど……」


 困りつつも。


玩具おもちゃ?」


「やっぱり!?」


「あはははは。ウソウソ、冗談」


 いや、半分冗談じゃないでしょう?


「園田さんが最初から女装してたし、見かけとか仕草とか、女の子に寄せてくれてるのもあるかなぁ……なんか普通に女友達、って感じかなぁ? わたしから見れば、普通に女子生徒?」


 だとしたら。


「あんまり、効果と言うか、意味が無いような?」


「だよねぇ……わたしも今、特に意識しなくて、普通に園田さんと会話できてるしねぇ……あ、駅だ」


 ちょっと、そっち方面もちゃんと考えた方が、よくないですかね?


 と、思いつつ、逆方面の先生とも駅で別れて。


 この日は、終了。


 流れ的に、次回は……。


 あるのか?


 無いのか?



 さて?




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る