第27話:突然のプロポーズ



「んー、美味しかったぁっ!」


 満足された模様の、ロリ先生。


 それは、なにより。


「お粗末さま、でした」


 って、母ちゃん。作ったのはオレだけど?


 まぁ、家長として、客人へのご挨拶、と考えれば。


 オレはただの厨房係。


 中坊じゃないぞ。高校生だし。


 まぁ、ほぼ女子校の生徒ではあるが、な。


「園田さん、少しよろしいですか?」


 夕食ゆうげの後の食卓。


 テーブルが狭く、椅子もそんなに用意していないから、オレと母ちゃんはソファーの方でロゥテーブルの方に居たんだけど。


 ぱっつん子先輩が、オレのところへやって来て。


「わたくしのところに、嫁いではいただけませんでしょうか?」


 は?


「あーっ! サクラっ! 抜け駆けっ! ダメっ!」


 金髪子先輩も慌てた様子でこっちに、来たが。


「ミリィには園田さんをきちんと養うのは難しくてよ? わたくしにお任せなさいまし」


 ちょっと、マテ。


「それで言えば、サクラも怪しいじゃない? ここはわたしが」


 おさげ子先輩まで、参戦して来た。


「はい、はいっ! わたしもっ。わたしも立候補しまーす」


 いやいや、ロリ先生!?


「先生と生徒では問題が多すぎますわ。ここはやはりわたくしが」


「ちょっと、マテ、おまえら」


 あ。


 先輩に、なんてことを、と、一瞬思ったりもしたが、それどころでは、ない。


「何をいきなり訳のわからない事を言い出すんだ。単に美味いメシが食いたいだけだろ?」


「そうよ、親として、そんな簡単に娘を嫁にやる事はできないわ」


「母ちゃんはひっこんでろ、ややこしくなるだろ!」


「まあ、それは冗談としまして、ですね」


 真面目な顔をして、ぱっつん子先輩が冗談だと告げるが。


「え? 冗談なの?」

「マジか?」

「えー?」


 金髪子先輩、おさげ子先輩、それに……ロリ先生も。


 かなり本気だったっぽいぞ?


「女子力と言う点において、お料理に関しては園田さんの方が上であることを素直に認めましょう」


 お? なんだ? ぱっつん子先輩?


「その他の面においての女子力に関してはわたくし達が指導するとしましてですね」


「ん?」


「お料理に関しては……その、わたくし達に指導して頂けませんでしょうか?」


 おぉ、何か、見かけ通りにしおらしい上に、かなりへりくだって。


 かなり本気なのか?


 んが、しかし。


「オレより上手なヤツに教えてもらった方が効率いいんじゃないか?」


 まぁ、教える分には問題は無いとは思うが。


 やる事が増えて大変な気もしなくはない。


「え? サクラ、料理するの?」

「って言うか、できるの?」


 他の二人は、やる気、無いっぽいな。


「できないから、習うのでしょう?」


 ぱっつん子先輩、やけに前向きなのはいいけど。


「専門家に頼んだ方がいいような気もするけど?」

 

「あのレシピも含めて、ですわ」


 ほぅ……我が家の味がかなり気に入った、ってコトなのか。


「まぁ、いいけど……いいよな、母ちゃん?」


 一応、我が家の味、すなわち、母ちゃんの、味。


「んー、別に構わないわよ。ただし……」


 ただし?


 母ちゃんが少し間を持たせてから。


「我が家の味を継ぐなら、真綾まあやをお嫁さんにしてもらわないと、ね」


 おい、母ちゃん。


 さっきは、嫁にはやらんとか言ってたじゃねーかーっ!





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