第22話:クラスに溶け込める日は来るか?
週末に女装ショップで色々とアイテムを入手して。
女装のレベルアップ(?)を行った、オレ。
週明けに登校(徒歩約一分)して、教室に入ると。
「え?」
「え?」
「え?」
「誰?」
クラスメイトの他の女子生徒たちから。
奇異の目で見られる。
そう言えば、入学した初日もこんな感じだったなぁ。
その時と、似て非なる、視線。
ぶっちゃけ、例の八時間目の先輩たち以外、クラスメイトを含めて友達もいなければ知り合いも居ない。
クラスでもいろんな意味で浮いているオレに話しかける勇気のある女子は居らず。
きっと、少し長くなった髪。
それに。
ちょっと、変わりすぎてて、珍しいんだろう。
きっと、何なのか、聞きたいんだろうけど。
そんな月曜日の始まり。
担任の教師と一緒に教室に入って来たのは、ロリ先生。
担任から『少し皆さんにお知らせしたい事があります』とロリ先生にバトンタッチ。
ロリ先生が、軽く挨拶をしてから話し出す内容はと言うと。
「……と、言う訳で、園田さんをもっと女の子らしくしてゆきますので、皆さんもお手本となれるように、女の子らしさを見せてあげてください」
と。
一応、フォローしてくれてるのか……。
後で聞いた話。
他のクラスや他の学年でも。
それぞれの担任からこの事が告げられた、らしい。
…………。
外堀。
埋められまくって、草。
まぁ、堀には草も生えるか……。
やってらんねぇ、とか思いつつも。
迎えたゴールデンウィーク。
平日と休みが飛び飛びのこのシーズン。
クラスの親睦を兼ねて、と、レクリエーション的に球技大会。
クラス毎に、バレーかバスケか、ソフトボールで、三学年入り乱れての総当たり戦。
ウチのクラスは、ソフトボール。
女の子らしくしているとは言え、男子のオレ。
普通に考えれば女子に混ざってスポーツとか、色々と問題ががが。
んでも、クラス委員が気を利かせてくれて。
「利き手じゃない方でなら、参加できるんじゃないかしら?」
と、助け船。
ポジションも、あまり影響がないだろう、と、
実はオレ……利き腕と逆の手もそこそこ使えたりするって言うのは、ナイショなんだけど。
でも。
上げ底を入れたブラの上。体操服ジャージの上からプロテクター。
あまり慣れない利き腕にはめたグローブ。
ガニ股でしゃがむと食い込むショーツ。
うん。
ハンデとしては申し分ないだろう。
ってコトで、参加した球技大会、ソフトボール。
四チームの総当たりなので、六試合を二日かけて。
グラウンドは一面しか取れないために、めちゃくちゃ変則的な組み合わせでの進行で、若干混乱しつつも。
どうにか。
打席も反対側に入って、できるだけ目立たないように軽く当てるだけの内野ゴロにしておいたりして。
無難にこなして。
勝敗はほぼ無関係のレクリエーションだとしても。
全勝して、一位になればテンションもあがり。
二日目最終戦、最後の打者を打ち取って、お疲れ様、と立ち上がった時に。
ちょっとビビったし。
相手の女子も。
我に返ると真っ赤になって、他の内野手、それに駆け付けた外野手、それからベンチと言う名の校庭に座り込んでいた応援メンバーにもみくちゃにされてる。
その歓喜のカタマリを。
外周の少し離れたところで、プロテクターを外しながら。
ふと。
「いいな……」
なんて。
思ったり、思わなかったり。
したり、しなかったり。
どっちやねん!
むぅ。
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