第12話:母ちゃんに相談してみた結果



 七時間目だ、八時間目だと。


 通常授業以外の特別カリキュラムなんてのもこなしつつ。


 エセ元女子高『しの女』での学生生活。


 半分、女生徒として扱われている、男・オレ。


「なぁ、母ちゃん」

「なぁに?」


 母ちゃんとふたり、夕食時に。


 例の件を少し遠回しに聞いてみる。


「母ちゃんが『しの女』に通ってた時っ?て、服装とか校則ってうるさかった?」


「うん、結構厳しかったわよ。気崩しとかすぐに怒られてその場に直させられるし、下着チェックとかも頻繁にされてたわねぇ」

「今、全然、ゆるゆるみたいなんだけど?」

「そうなの?」


 この間の先輩たちの校則に関する反応を母ちゃんに説明してみると。


「ふぅん……時代が変わったのかしらぁ?」

「だとしたら、オレの女子制服とか、下着とか、もう従わなくても問題無いと思うんだけど?」


 例の件を母ちゃんにぶつけてみたところ。


「えー。それはダメよ」

「なんで!?」


 意外な反応。


「だってー」


 母ちゃんいわく。


「娘と一緒に可愛いお洋服とか下着とか一緒に選んだりしたかったんだもん」


 もん、じゃ、ねえっ!


 あ……。


 そうか……。


 普段はほとんど意識した事はなかったが。


 母ちゃんは。


 オレを産んだ後、オレの父ちゃんだったヒトと別れて、ひとりでオレを育ててくれた。


 あまり詳しい事は聞かされていないが、働きながら女手ひとつつでオレを育てていたために再婚や二人目の子供を、と言ったことが出来なかったらしい。


 そんな母ちゃんの、はかない望み。


 はかない、夢。


「実は、七時間目の授業とか、八時間目の授業ってのがあってさ……」



 俺は、母ちゃんに。


 七時間目のコスメの話。


 そして、八時間目の、男子に慣れない二年の先輩女子の話。


 それに、その先輩たちからオレを『女らしくする』話をした。


「へー、いいじゃない。母さんも協力するよ? どうせなら、家に居る時も女の子らしい格好で過ごすのもいいかもね? うん、そうしよう、そうしよう」


 めちゃくちゃ楽しそうな、嬉しそうな母ちゃんの顔。



 なんか、さらに面倒なコトになって来た気がするんだけど。



 でも。



「はぁ……しょうがねぇ、か……」




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