第11話:七時間目はコスメの授業




 男性に慣れない先輩女子三名が、男性に慣れるようにと組まれた『八時間目の特別授業』


 オレは先輩方の『教材』として協力を要請されたまでは良かったが。


 いや、あんまり良くもないんだけど。


 それ以上に何故か、オレを『女らしくする』方向に話が進んでたりする。


 まぁ、先輩方が男に慣れるため、オレと関わる手段としては悪くはないのかとは思うが。


「なんか、玩具おもちゃにされる未来しか見えない……」


 うん、確実に。



 それはそれで、週に一度の『八時間目の授業』とは別に。


 本来の『七時間目の授業』


 こちらは、全生徒対象で週に一度、六時間目の通常授業の後に行われる。


 そして、今日はその第一回目の『七時間目』


「ではまず、教本カリキュラムを配りますね」


 担当の教員から配布される、薄い本。


 薄い本!?


 手に取って一瞬ドキっとしたが。


 もちろん、ではなく。


 タイトルは。


 『コスメの基礎』


 コスメ? って何ぞ? コンソメスープとかの関係?


「皆さんは、お化粧をしていますか? もちろんしていませんよね? 何故なら、お化粧は校則で禁止されていますから」


 担当の教師が語る。


 んが、しかし。


 コスメ? 化粧?


 コンソメスープと化粧が関係するのか?


「しかし、高校を卒業して大学に進学したり、就職した場合、いきなりお化粧をする事になります」


 ふむ?


「社会人になると学生時代とは逆に、最低限のお化粧をするのがマナーにもなっている程です」


 そういえば母ちゃんも朝、パタパタと鏡の前で何やら四苦八苦してるよな。


「大学生になれば独学でコスメについて学ぶ事もできますが、『社会に貢献し、社会で活躍する女性を育成する』と言う理念を掲げた『しの女』では、成人してからあわてないように高校生の間にメイクの基礎を学習する事にしています」


 女子ってそんなに大変なんね……。


 配られた薄い本カリキュラムに目を通してみる。


 確かに、母ちゃんがいつもやってるような光景の写真やら図解がちらほら。


 コスメ。コスメティック。まぁ、ぶっちゃけ化粧のコトみたい。


「……と、言う訳で、一年生の間はスキンケアを主体にお肌の手入れについて、二年生ではコスメの基礎を学び、三年生は応用として実際に自分に合ったメイクの実習を行います」


 ほぉほぉ……わりと本格的、なのかな?


 クラスメイトの女子たちは先生の話を前のめりで聞いている。


 さすがにみんな興味津々、と言ったところか。


 オレにとっては別世界の話にしか聞こえないんだけど。


 ってゆーか。



 オレもやるんだよな、これ……。



 そう言えば『八時間目』の先輩たちとロリ先生がオレを女らしくするとかって、化粧もするとか言ってた気もするし。


 避けては通れないのかぁ……。


 なんかヤだなぁ……。



 正直、面倒くさそう。



 むぅ……。





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