第21話

俺が他の冒険者さんと情報共有をしていた時に今後の方針が決まったらしい。ケーラはすでにほか四人とは仲良くなっていた。久しぶりに女装じゃない女の子と話せて楽しかったのだろうか、生き生きしていた顔をしていた。


俺が席に着くと、俺のほうに向かって食い気味にメアが話題を振る。


「ケーラちゃんはとりあえず、私たちと一緒に新しい服のお買い物に行くから、アリアンはミラと一緒に私たちの新しい家を見に行ってくれる?」


俺は含まれていないのは、多分ケーラが気を使ってくれたのかと思うが、ミラはなぜいかないのだろうか。俺に気を使ってとかなら少し申し訳ない。


「それはいいけど、ミラは行かなくていいのかな?せっかくだし、みんなで行けば」

「違うんです。私は少し、家の代理人と話をしなくてはいけなくて」

「じゃあ、みんなで……」


俺が言おうとしたときには、ミラが黙れというかでこちらを見ていた。何か訳があるのだろうか。みんなで行きたくない理由が。


「わかった。じゃ、ケーラ。楽しんでね?」

「言われなくても楽しんできます」

「私たちが責任をもって楽しませてくるわ」


エリアは深くうなずくだけだった。まあ、この二人なら信頼できるか。俺はミラと二人で新しい家へと行くことにした。三人が席を立って二人きりになって俺が話を切り出す前にミラがしんどそうに話し出した。


「なんでみんなと一緒に行かないか、ですよね?」

「そ、そうだけど。話しにくいならいいんだけどさ」

「そうですか。でも、その場所に着いたら分かります。しかし、すこしいい話ではないかもです。あと向かう場所は新しい家ではないです」


彼女は弱く笑った。なんて言ったらいいんだろうか。言葉にはできないが、彼女の表情の裏には何かがある。そう思った。彼女の言葉通り、何か良くないことがある。そう思いながら彼女の後ろをついていった。


彼女が連れてきたのは、ダクズブルク家の本家前だった。俺がミラの表情をのぞき込むと恐怖におびえているような気がした。


「言えなくてごめんなさい。私が連れてきたのはここです」

「なんでここに?」

「これからアリアンは嫌な思いをするかもしれません。許してください。あなたにこんなことする私を」


彼女は俺の目を見ずにそういった。何かがあるのだろう。パーティーのシルバーへの昇格の報告のようなことじゃないようだった。


「いいけどさ、何が起こるの?」

「アリアンには男の子のふりをしてほしいんです!」


彼女は俺に向かってそう叫んだ。あっけにとられた俺は情けない声しか出なかった。


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