第19話
俺が朝起きると、既にテーブルにはトーストと目玉焼き、サラダが用意されていた。いつもなら一緒に食べるのだが、もうケーラは洗面台の前にたっていた。
いつものメイド服ではなくて、どこにしまっていたのだろうか、軽装甲のプレートメイルを装着し、腰には小型のナイフ。足元にはボーガンが用意されている。
「緊張します.....」
そうつぶやくケーラ。戦闘面の不安なのかと思って彼女のことを励まそうとすると、彼女が気にしていたのは髪型の方だったらしい。
「何してるの、ケーラ?」
「あぁ、おはようございます。今、私は身だしなみを整えるので必死なので朝ごはんは一人で食べててください」
そう言って、俺の事を手で追い払った。俺にかまっている暇はないらしい。女の子はやっぱり前髪、ひとつでも気になるんだろうなぁ。
「ケーラはいつも可愛いよ。自信を持って」
俺がケーラに自信を付けさせるために言葉をかけてみるが、少し不機嫌そうな顔で返ってきた。
「私は自分が可愛いと自負してました。でもあのメンバーの中に並ぶとなると.....。そもそもですね、男の子なのに違和感がないアリアン様がおかしいんです」
怒られてしまった。俺はそんなこと気にしたことないけどなぁ。気にしてることといえば少しアイシャドウを引くくらいか。
あとは生まれ持ったもので勝負してるし、アドバイスのかけようがない。俺は力及ばす洗面台から撤退することになった。
俺が洗面所に背を向けて歩き出そうとすると、パジャマの袖が軽くつままれた。俺が振りむくと、毛先をクルクルと指先で遊んでいるケーラが不安そうに聞いてくる。
「今日、珍しく髪型をふわふわにしてみたんです。どうですか、似合ってますか」
少し頬を赤く染めて聞いてくる。その顔をよく見ると目の下には軽く、くまができている。不安だったのだろう。
「似合ってるよ。今日のケーラは一段と可愛い」
俺はケーラの肩を掴んで熱弁した。その俺の手を掴んで、ゆっくりと離すと嬉しそうに笑って感謝を述べた。
「ありがとうございます。頑張った甲斐がありました。自慢できる女でありたいですからね」
そう言って彼女はまた洗面台へと向き合った。なんか彼女を友達に紹介するような気持ちになった。
「それと私はアリアンと古くからの友人という体でいきますので。あと私はお姉さんキャラでいくことにしました。おいたがすぎるとはめっ、ですよ!」
「なんだよ、そのキャラ.....」
上機嫌のケーラをおいて俺は朝ごはんを頬張ることにした。
◆◆
星が欲しい。
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