第16話

幸せな気分だ。俺はあのまま死んでしまったのか。俺は天国なんて行けたんだな。てっきり地獄とばかり思っていた。頭がふわふわするし気持ちがいい。柔らかい雲に頭を埋めているのか。


しかし天国とは騒がしいところだな。さっきから声が聞こえる。ゆっくりさせてくれよ。そういや、俺は死ぬ前には何をしていたっけ。そうだ、俺はパーティーを組んでいて、助けようとしていて……。


帰らなきゃ、生きなきゃいけない。そう思ったときにはみんなの声が聞こえてきた。何を言っているかはわからないが聞きなれた声。まだこのふわふわ世界にいたい気もするなぁ。そんな後ろ髪を引かれる思いでいると、当然俺の頬に痛みがはしった。


痛みに無理やり目が開かれる。しかし周りはまだ暗い。俺は下を向いていることに気が付いた。俺は寝返りを打つように上を向くとそこには綺麗な顔で少し申し訳なさそうに顔を歪めるミラがいた。


「お、おはようございます。アリアン」

「お、おはよ、ミラ」

「アリアンが私の股に潜り込もうとしてきたので衝動的に手が出てしまいました。別に嫌だったというわけではなかったのですが」

「それで帰ってこれたしいいよ。というか、幸せな夢を見させてくれてありがとう」

「?」


俺がミラの膝枕にお礼を返すと横で肩で息をしているメアがこっちを振り向く。顔は俺の帰還に嬉しそうではない。


「いつまで寝てんのよ。おかげで私のMPは限界を超えちゃったじゃない。帰りは任せたからね。護衛とエリアのおんぶ」

「わ、わかった。じゃあ、帰ろうか」


俺がミラの膝枕から立ち上がるとぐったりなエリアを受け渡された。よかったのはメアがほとんどの魔物を殺してしまっていて戦闘なして地上まで帰れたことだった。


俺たちはすぐに教会に連れて行ってエリアの回復を願い出た。聖女さん曰く、生死はぎりぎりだったらしい。ダンジョン内での応急措置が良かったとのこと。それを聞いたとき、ミラは得意そうな顔をしていた。

メアは「私がみんなを守っていたんだからね?」とミラの手柄の一人占めを阻止しようとしていた。


俺たちはエリアを教会に預けて、ギルドへと報告に行った。俺たちがダンジョンを攻略したこと。俺たちより前に行ったパーティーは全滅していたということ。


ギルドの受付のお姉さんによると、前に行った二つのパーティーはゴールドくらいの実力だったらしい。だったというのはまだシルバーだったということである。ボスをどうやって倒したか聞かれたので、前のパーティーが弱らしてくれていたのかもしれないと答えておいた。


しっかり金貨二枚の手柄をいただいた。正直、命の危機と引き換えにもらったのが金貨二枚では割が合わない。これのために二つのパーティーが全滅した。死ぬも生きるも紙一重なんだ。そう思って、いただいた金貨二枚を握りしめた。


◆◆

星が欲しい。500を目標にできるまで成長しましたね……。







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