第9話
俺はお風呂に浸かりながら考えていた。純白鳩ハウスについて。もし、それが現実となった時、ケーラはどうするんだろうか。
「やっぱり俺にはケーラがいるんだよな。一緒にいたいし、離れたくないんだ。ケーラはパーティのことは好きって言ってたけど、もし一緒に住むってなったら話は別だろうし……」
俺はお風呂で自問自答していた。そもそもミラたちが許してくれるかも分からないし。いきなり連れていたやつと一緒に住んでくださいなんて普通にあり得ないだろう。彼女たちだってこの四人だから、という気持ちがもちろんあるだろう。
でもやっぱり一番の問題は……。俺は頭を冷たい水で覚醒させた。考えても仕方ない。これはやはりケーラに聞くしかないと思う。俺の人生の先生だからな。
そして、俺はケーラのことの考えたついでにさっきのことを思い出していた。これは俺の自由な妄想タイム。妄想なら何を思ってもいいだろう。
「それにしても今日のケーラはえろかったなぁ……。もしあの時、俺がケーラにのっていたらあんなことやこんなこと……!く、くそぉ……」
惜しい気持ちもするが、でもあの時の俺はこんな形でケーラをものにしたくなかったんだよ。ベタ惚れさせてから、イチャイチャしたいのだ。しっかりと段階を踏んで。
俺は気持ちを切り替えるとタオルで体を拭いてから、リビングへと顔を出した。そこにはメイド服から私服に着替えたケーラがいた。
真面目な姿で本を読んでいる彼女はなんとも絵になる。何を読んでいるのか、聞いてみようとしたときにケーラがこちらを振り向く。
「アリアン様、アイスコーヒー飲みますか?ブラックでは無いですよね?」
「砂糖多め、ミルク多めで」
「だからそれはもうカフェオレです。そろそろ苦いのに慣れたほうがいいですよ。知らない人の前でそんな飲み方しているとひれますからね」
そんなことを言いながらスタスタと用意しにいってくれた。机に本を置いていったので、どんな本を読むのか、やはり気になってそっと本を開いてみた。
『とくんっ///私の胸が跳ねた』
『俺のとこに来いよ』
……っ!!?なんだよ、これ。思いっきり少女漫画だった。まぁ、全然いいけどね?ケーラも女の子なんだから。
そっとしておいてあげよう。俺はゆっくりと本を閉じたその時にはもう後ろにいた。あの人が……。
「……見た?」
部屋の温度が5度くらい下がった気がした。それくらい冷ややかな声で俺の後ろからケーラがそう尋ねた。
「見ました……すみません」
俺は素直に伝えた。だってもう逃れられない状況にあったのだから。ケーラはクールな顔を真っ赤に染めてへたりと座り込んでしまった。
「あ、もう……死のう」
生気が顔から抜けていくのが目に見えて分かる。ケーラの幼いときをおもいだす。感情豊かだったあの頃を。
「ご、ごめんなさいーー!そんなつもりではなかったんです」
「いや、私が悪いんです……もうむりぃ……土に帰らせてください」
そう言って持っていたコーヒーをテーブルに置くと地面にベターっと、寝転がってしまった。
「俺はいいと思うけどな。ケーラが少女漫画を読んでいても。それにまぁ、ケーラが恋愛に興味あるんだって思ったし」
俺は頭をかきながら、弁明の言葉を並べていく。
「今の私の耳には何も届きません。じゃあアリアン様も態度で示してください。その……壁ドンとやらを私に試して見てください!うわあぁあぁー。。」
「え、えっ!?ケーラがいいならいいけど」
俺が賛同の声を口に出すと小さくケーラは意気込みを述べた。
「どんとこいです……」
俺が床に寝転がっているケーラの顔の横に肘を置く。これは壁ドンではなく床ドンだが、まぁいいか。なんでお前がそんな知識を知っているかって、俺も恋愛マスターになるために読んだ時期が……。嘘嘘、冗談だよ、冗談……。
思ってはいたが近い……。ケーラの可愛らしい顔がすぐ近くにある。息がかかる距離。ケーラは目が合ってすぐ逸らしてしまう。
「あぅっ……///も、もういいです。十分です。これ以上はやばいです」
「そうだな俺もやばいって……うわぁだぁあ!!」
俺は体制を崩して、思いっきりケーラへと体重をかけてしまった。それほど大きくはないのだが、しっかりと柔らかい彼女の体の感触が全体に響き渡って……。
「これが最高級の……感触」
「……そろそろどいて頂けると助かります」
そんなつぶやきが俺の耳をくすぐった。我に返ると、そこには顔を赤くして丸まってしまっていたケーラがいた。
あぁ、修羅場確定だ。
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