第2話

手を繋いだはいいもののいつ離していいのか、分からず、ずっと握ったままでいる。白い肌のメラちゃんだが、若干赤くなっている気がする。いや、気のせいだよな。


「なんか、ドキドキするね、アリアン?」

「えっ!?ドキドキするかなぁ?僕、分かんないや」


何を言い出すかと思ったら可愛すぎんだろ?白い歯をにやりと見せて、笑う小悪魔のようなメア。当然、ドキドキしてるに決まってる。


「私さ、女の子同士でも……」

「え?なんて?」

「な、何でもない!何でもないから」


そういうとメアはつないでいた手を離してしまった。なんか小言でも言われていたが、何を言われていたのだろう。俺がドキドキしているのがばれたなんてことないよな?


(え、アリアン私でドキドキしてるの?き、きもぉ……ていうか、なんか、男っぽいよね?確かめさせてよ……)


的な展開になるのかもしれない。俺はそんなことを思っていたのだが、予想とは異なったかわいいものだった。


「私、新しい魔法覚えたんだ。ついに水魔法の中級魔法を覚えました。アリアンに最初に言いたかった」


そう言って、ぶいぃー、とピースをするメアちゃん。彼女は珍しい加護『賢者』の持ち主。未だに謎が多いが、三属性の魔法を操れるのが効果とされている。これでもわかってもらえると思うんだが、このパーティーはなかなかの期待のスターがそろっているのだ。


「凄いなっ、メアは。僕も頑張らきゃ。おめでとう」


俺は可愛い顔で俺の顔を見るメアちゃんの頭をわしゃわしゃと撫でた。メアちゃんは頬を緩ませて満更でもなさそうに言う。


「や、やめろぉぉぉっ///」


ひとしきり撫で終わって俺が満足して頭から手を離すと、少し名残惜しそうな顔でメアは俺の事を見つめた。まだしてくれないの?、とでもいうように。


これ以上すると邪な気持ちが出てしまうかもしれないので、グッとこられて前を向く。メアちゃんをめでたい欲求に打ち勝ち、足を前に進めた。


少しかわいそうと思ったというのもあるのだが、メアがあいた手を眺めていたので

つないであげることにした。


そんなことをしていると遅いと感じたんだろうか、後ろを振り向いたエリアがこっちによってきて言う。


「あっ!な、何、メラはアリアンと手を繋いでるんだ!私も繋ぎたいぞ!」

「繋いでないし……ね、アリアン」

「そ、そうだよ」


俺は若干しどろもどろしながら、答える。なんでか分からないがメアは俺と手を繋いでいたことを隠した。まぁどうでもいいか。


多分、エリアも同じ気持ちだったのだろう。自分の見間違えだったと思い、切り替えていた。


「そうなのか。まぁ仲良いことはいい事だし。リーダーとして仲間のことを見るのもな、仕事だしなんかあったら言うんだぞ。ほら早く、ウチのヒーラー様がお腹空かせてるからさ」

「早く行きましょーよぉ!お腹ペコペコです」


ジェスチャー込みで教えてくれる貴族のお姉さん。言われなかったら身分が高いとも思わない。別に悪い意味ではない。親しみやすいという意味である。


「行こっか、アリアン」

「はい」


こんな俺たちの会話も冒険者の男たちからしたらなぁ……。ほらまた聞こえるだろう?純白鳩を推している冒険者たちの声が。


「てぇてぇなぁ……」

「俺は百合でもいい」

「俺はアリアンさんかなぁ。黒髪ショートはどストライククール系しか勝たん」


そんな声が聞こえて鳥肌が隠せない俺だった。すぐに仲間の元に走って群れておくことにした。

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