第9話 斉藤麗音の過去
「私、沙織が通っている塾に通ってるの。私、全然勉強できないし、頭悪いし。だから全然褒められたことがなかった。でも…。お母さんには「あなたは顔だけいい」って言われて…自分の容姿に自信を持つようになった。そうしたら、おしゃれに気が向いちゃったんだよね…。そうしたら勉強もしなくなって…。それでも、友達も多くて顔も可愛くて勉強も私よりはできる沙織が羨ましくて仕方がなかった。だから嫌われてしまえ!という気持ちが現れたの。」
「……………。」
斉藤麗音は静かな口調で話し始めました。佐野幸樹は黙って聞いています。怒っているのか、可哀想だと思っているのでしょうか。
「それはつらかったね。でも人をいじめるのはよくないよ。それって嫉妬でしょ?しかもそれと僕のどこが関係あるの?何で僕を手に入れたいのかな?それって沙織をいじめる理由になるの?ねえ?」
佐野幸樹は怒った口調で、大袈裟に言いました。斉藤麗音は「ご…ごめんなさい…」と震えています。
「ハァ…。ごめんなさいは沙織に言ってもらえる?僕は沙織じゃないんだから。許すかどうかは沙織次第だよ。僕は絶対許さない。このことは沙織は知らないかもしれない。でも、知らせておいた方がいいでしょ?「沙織の習友が沙織のことをいじめてたよ」って直接伝えておくから。明日の朝、面接室に来て。沙織も含めて、3人で話すからさ。じゃあ明日まで話しかけてこないで。君の顔を見るだけで怒りが爆発しそう」
佐野幸樹はそんなことを吐き捨てて、沙織のところへと向かいました。そうして、斉藤麗音は
(沙織………。私バカだった。ツンデレなんだから感覚が鈍いんだと思ってたらすっごく鋭かった。すぐ別れた方がいいよ。きっと不倫したらすぐに見つかるよ?私は不倫なんかしないから…。佐野幸樹、私と付き合おう?)
と、思っていました。斉藤麗音は全然全然反省などしておらず、まだ佐野幸樹のことを追いかけようとしていたのです。明日の朝の面接室で話をするまで。斉藤麗音は変われるのでしょうか。
ツンデレ彼氏とヤンデレ彼女 夢幻 @yyamaguchi
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