第37話_城下町までの旅路
パシフィス王国城下町への道は、緑豊かな森を抜け、
広大な草原を越える長旅だった。
朝の露がまだ草花に残る森の中を抜けると、三人は広がる草原に足を踏み入れた。
太陽は高く昇り、青空が広がる中、彼らは一歩一歩目的地に近づいていった。
「ほれ、見えてきた。あれが城下町だ」
ベルタが指差した先には、遠くに城壁が見え始めていた。
城壁に囲まれた町は遠目にも賑やかさが伝わってきて、
ライトの目は期待で輝いていた。
「すごい!二人とも早くいこ!」
ライトの興奮は抑えきれず、彼はまるで風を切るように草原を駆け抜け始めた。
ベルタは苦笑いを浮かべながら、
「はやっ!行っちまったけど大丈夫か?」
と心配そうにつぶやいた。
しかし、村田は慣れた様子で、
「そのうち疲れて追いつくだろ」
と静かに呟いた。
そして、案の定、ライトはやがて力尽き、一つの大きな岩にもたれかかって息を切らしていた。
「やっときたー、シュンおんぶしてー」
とライトは疲れた体を引きずるようにして村田に助けを求めた。
「お前なぁ..俺は荷物あるから無理だ、ベルタにお願いするんだな」
と村田は苦笑いを浮かべて答えた。
その瞬間、ベルタは何か言いたげだったが、ライトはすかさず彼の背中に飛び乗った。
「おべっ!..ライト君、意外と重いな..」
ベルタはぼやきながらも、彼を背負い始めた。
「やっぱ歩かせるか」
と村田が提案すると、
ライトはベルタの背中で小さく抗議した。
「僕そんな重くないでしょ!?」
彼の声は少し拗ねたようで、子供らしい無邪気さがにじみ出ていた。
「ねぇ、城下町ってどんなところ?」
とライトが好奇心旺盛に尋ねると、ベルタは
「ん-、色んな奴がいて、たくさん店があるぞ。あっ、ケラプさんの店のアップルパイは絶対食べとけ、うまいから」
「アップルパイ!!どんな食べ物なの!?」
とライトが目を輝かせて尋ねると、
ベルタは
「それは見てからのお楽しみってやつだな、ほらもう着くぞ」
と言って、彼らを城下町へと導いた。
こうして、彼らは笑い声と軽い冗談を交わしながら、
パシフィス王国城下町へと足を踏み入れた。
新たな冒険が、彼らを待ち受けていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます