第36話_出発

朝露が草花を濡らし、鳥たちの囀りが森を満たす中、

村田とライトは新たな旅立ちのために小さな村の入口に立っていた。

太陽がゆっくりと地平線から昇り、

その温かな光が二人の背中を優しく照らしていた。


「皆さん、いろいろとお世話になりました」

村田は深く一礼し、感謝の気持ちを込めて言った。


「こちらこそ。またいつでも来てくれ、歓迎するよ」

ガガリアは優しく微笑みながら答えた。

彼の目には別れを惜しむ気持ちと、二人の無事を願う優しさが溢れていた。


「ねぇガガリアさん、どう?」

ライトが得意げに体をくるりと回転させながら、

ガガリアに魔力抑制の確認を求めた。


ガガリアはじっくりとライトを見て、

「うむ、それなら城下町へ行っても目立たないだろう」

と肯定した。


ライトの顔が喜びで一層明るくなり、村田も彼の成長に心からの喜びを感じていた。


その後、ガガリアはベルタに向かって言った。

「ではベルタ、城下町まで二人を案内してあげなさい」


ベルタは驚きと少しの不満を隠せずに言った。

「えっ俺ぇ!?」


「一昨日の夜は随分と盛り上がっていたそうじゃないか?」

その言葉には、さりげない叱責と共に、ベルタへの信頼も含まれていた。


ベルタは言い返せず、

「うっ!?わ、わかったよ!」

と渋々承諾した。


「じゃーほら二人とも!さっさと行こうぜ!」

二人は少々強引に背中を押され進みだした。


こうして二人はベルタと共に次の目的地である

パシフィス王国城下町へと足を踏み出すのだった。

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