第三章【パシフィス王国編】

第38話_城下町到着

城下町への入り口をくぐった瞬間村田とライトの目に広がったのは、

賑わいと活気に満ちた新たな世界だった。

石畳の道を行き交う人々、色とりどりの店の看板、香り立つ食べ物の屋台。

すべてが二人にとって新鮮な驚きであり、期待で胸が膨らんでいた。


ライトの目は輝き、人々の波を見渡しながら

「すごい、こんなに人が..」

と声をあげた。

彼の言葉は興奮と驚きに満ちており、新しい発見への期待を隠せなかった。


ベルタはしばらく二人を見守っていたが、やがて時間の流れに気づいたように

「じゃ、俺は帰るとするよ。あんまり帰りが遅いと親父に怒られるからな..」

と告げた。彼の言葉には少しの寂しさと、帰路への急ぎが感じられた。


村田はベルタに感謝の意を込めて

「あぁ、ここまでありがとう。気を付けてな」

と言い、彼に向けて頷いた。

その言葉には、これまでの旅の道連れへの感謝と、

これからの旅への期待が含まれていた。


「あんたらもな。なんかあったらいつでも村に戻ってきな」

と言い、彼らに別れを告げた。


ライトはベルタに手を振りながら

「じゃあね!」

と明るく叫んだ。

彼の声には新たな冒険へのわくわくと、

ベルタとの別れの名残惜しさが混ざり合っていた。


「よし、まずは宿を確保しないとな」

村田が言うと、ライトはきょろきょろと周りを見渡し始めた。

彼の目は好奇心でいっぱいで、この新しい場所のすべてが新鮮に映った。


「それからご飯だね!」

ライトが元気いっぱいに言うと、村田は彼の明るさに心を和ませながら頷いた。


「そうだな、折角だしベルタの言ってたアップルパイでも食べるか」

村田の提案に、ライトの顔がさらに輝いた。

アップルパイの話を聞いて以来、彼はその味を想像し続けていた。


二人は町の中心に向かい、人々の情報を頼りに宿を探し始めた。

幸いなことに、適当な価格で快適な宿を見つけることができた。

荷物を部屋に置き、ほっと一息ついた後、

彼らは次なる目的地、ケラプの店へと足を運んだ。

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