第4話:やっぱりそうなるの?

ペッパーと知り合う前までの尚太郎の足は自転車かカブだった。

ペッパーに告白してオッケーがもらえた後、すぐに中古車屋さんへ車を買いに

行ったらしい。

今日みたいなデート日のためにやっぱり車は必要だって思ったからだ。


尚太郎は自分の愛車にペッパーを乗せて郊外の「レボショワール」 という

フランス料理のオーベルジュにディナーを食べに向かった。


レボショワールは蔦の絡まった感じのいいレストラン。


尚太郎にエスコートされてレストランのテーブルについたペッパーは珍しそうに

店内を見渡した。


「尚ちゃん・・・なんだか高そうなレストランなんですけど・・・」

「いいんでしょうか?」


「今日はペッパーとの記念すべき二度目のデートなんだからね、そのお祝い」

「好きなもの注文していいからね」


「お祝いとかって一度目のデートの時とかにするもんじゃないんですか?」

「二度目って・・・」


「細かいことは気にしない」


ペッパーはテーブルのメニューを見た・・・でも全部フランス語で書かれていて

チンプンカンプン。


「あの、私、こんな高級レストラン入ったことないからメニュー見ても

分かんないんですけど・・」


「じゃ僕に任せてくれる?」


そうい言って尚太郎はギャルソンを呼ぶとテキパキ料理とワインを注文した。


「すごいね尚ちゃん・・・」


「ペッパーもこれから来るようになったらすぐに覚えるよ」


しばらくするとペッパーが、初めて見る料理がテーブルに並んだ。

年代物の美味しそうなワインも・・・。


ペッパーは食べたことない料理にテンション爆あがり、運ばれてくる料理

をパクパク、ワインガブガブ。


ほっぺがハムスター状態だった。


見るもの食べるもの、びっくりで、ヒューメリアンの姿に戻りそうだった。

冷静に、冷静に・・・。


ペッパーはまた尚太郎に笑われた。


「ごめんなさい・・・私、下品だった?」


「僕はね、ご飯を美味しそう〜に食べる人好きだよ」

「ほんとにペッパーは面白い・・・君といると飽きないよ・・・」


「私、なにもしてませんけど・・・」


「いいの・・・君はそれで、そのままでいいんだよ」


「あ〜お腹いっぱい・・・美味しかったです」


ペッパーは、デザートも含め全食、綺麗に平らげた。


「それはよかった・・・じゃ〜もういいね・・・出ようか?」


尚太郎にそう言われてペッパーは席から立ち上がろうとして、よろめいた。


「ペッパー、大丈夫?」


「なんか・・・ワイン飲みすぎたみたい」


「そう・・・じゃあ少し休憩して帰ろうか・・・」


「僕、部屋予約してくるから」


「あ、私、大丈夫ですから・・・」


ペッパーが言い終わらないうちに尚太郎はフロントに部屋をオーダーに

行ってしまった。


「え?休憩って・・・まじで?」


しばらくして尚太郎がペッパーの元に帰ってきた。


「部屋取れたから・・・」


「あの、部屋って・・・?」


「まあ、場合によってはペッパーの体の具合でお泊まりもあるかもって

思って・・・」


(お泊まりって?・・・やっぱりそうなるの?)

(なんだかんだ言って結局ホテルじゃない?)


もし尚太郎に迫ってこられてもペッパーはかたくなに拒むするつもりだった。


(もしそんなことにでもなったら私がヒューメリアンだってこと絶対バレるもん)

(テンションが上がったら絶対元の姿にもどっちゃうでしょ)


(でも、尚ちゃんに優しくお願いされたら断りきれないかも・・・)


つづく。






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