第5話 いわくつきの土地

 ハイサイ

 私の両親は昔、那覇市のある地域に住んでいた。

 その地域は沖縄でもあまり知られていないがあまり縁起が良くない所だったらしい。

 その地域に住んでいた頃、夜、母が部屋で寝ていたら玄関の新聞受けから何かが覗いている気配がしたらしい。

 見た訳ではないが気配を、感じた。

 そして新聞受けからするりと入ってきた。

 母は、入ってきたと思ったが既に体は動かなかった。

 人とは認識できなかったらしく。何かが入ってきたのは分かったそうだが何かは分からなかったそうだ。

 そしてその入ってきた者は母の胸の上に乗った。

 苦しくなったが体は動かない。隣の父も母の上に乗っかった者に気づいたらしいが父も体が動かなかった。

 暫く、その状態が続いたがそのうち動けるようになった。

 そしてそれは何日も続いたらしい。

 しかも、その頃私も生まれていたらしいが私は毎晩夜泣きをして家では寝なかったそうだ。

 毎晩夜泣きをするので両親はドライブに出かけ私が寝たのを見計らい家に帰ったのだという。

 そして母はそういうことが続くのでお盆の回に紹介したファンキーなオバーに相談してお祓いをしてもらったそうだ。

 結果、引っ越したらしいがそれ以来私の夜泣きはピタリと止まったそうだ。

 両親が言うにはこの地域の話はあまりに影響が強すぎてあまり一般に流布しないのだというので、ここでも地域は伏せます。申し訳ない。


 ところで沖縄でいわくつきの土地といえば。真玉橋がある。

 昔、国場川という川がよく氾濫して、作った橋がよく流されるということが続いた。

 そこで人柱を立てて祈祷を行い、川の氾濫を鎮め、橋を立てたのだという。

 

 しかしそれ以来その周辺では幽霊が出るようになった。

 いまは橋はないが道の横に、昔の石橋の名残りが残っている。

 たもとに当時の石垣と碑文がある。

 この話は沖縄芝居にもなっている。


 この真玉橋には他にも人食い妖怪の話があるらしい。

 その両親が住んでいた地域はその障りが強くて知る人ぞ、と云う風になっているそうだ。

 私が住んでいたアパートだがリフォームしているだろうが今でもある。現在お住みの方は何もないのだろうか。

 この話を初めて聞いた時には両親はあれはキジムナーだよ、と言っていた。しかし、どうだろう。キジムナーはガジュマルの木に住むというので違うと思ってる。

 キジムナーにまつわる話はもう一つあるのでまたご紹介したい。

 その後団地に引っ越すのだがそこでは私が悩まされる。

 ところで沖縄といえば戦場だったので兵隊さんの幽霊の話を期待される方もいるだろうが、すいません、兵隊さんの話はないです。

 ただ私のまわりにも戦争関係の幽霊の話は聞いたことはない。

 何故かはわからない。戦争の話はまだ沖縄では生々しくて物語として膾炙できないのではないか、と私見を述べておく。

 ただ霊感があると言っていた友達は、沖縄南部には行けないと言っていた。やはりそのあたりは障るのかも知れません。また別回で。

マタヤー

 

 

 

 

 

 

 

 

 



 

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