第4話 お墓

 ハイサイ

 うちの父方の祖母の家系は首里の偉い家柄だったらしく祖母は昔はウミングヮ(お姫様と云う様な意味らしい)と呼ばれていたらしい。だれか詳しい方教えて。

 その後の戦争で没落したのだが。

 なので本家も首里にあったし、お墓も首里付近にあった。

 まかんみちと呼ばれる薄暗い坂道の裏にあった。(真嘉比は首里じゃないという方、付近ということで)


 まかんみちとは、ある夫婦の旦那が浮気をし、そのことの心労で命を落とした妻が化けて出るので棺桶の中の遺体の足を歩けない様に釘で打ち付けたら逆さ様になって出るようなったと云う私の話なんかより何倍も怖い話の舞台である。


 まかんみちの逆さ幽霊。そのままじゃん?そのままである。

 沖縄ではポピュラーな幽霊話である。


 そのまかんみちも今は見る影もなく?スタバなどが付近にあるが、私が幼いころは昼でもうす暗く夜などは近くを通るのはもっても他だった。しかも裏手は墓地なので悪さすると親などが「あっしぇっ!やなわらばー(クソガキ)あんた〜まかんみちに置いてくるよ~」と脅したものである。


 その墓地にうちのお墓があったのだが、作りが何だか変だったのである。


 普通、沖縄の墓は亀甲墓と呼ばれる亀の甲羅の形に似た作りなのだが、うちの墓は四角い箱だった。大きな細長い棺桶の様な墓で長四角の箱の上に石の蓋がされているだけの形だった。

 なので骨壷を入れるときはその石の蓋をずらしてから中に収めるのである。

 昔はそれが普通だと思っていた。

 しかし他のお墓と違うな、と思い親父に聞くと、ここは仮の墓で開発地域だから新しいお墓するから簡素にしている、と言っていたが、後にもう少し怖い理由が判明する。 

 沖縄には昔、洗骨という葬送方法があった。

 家族がなくなるとお墓の敷地に遺体をそのまま半年ぐらい放置し肉が腐れ落ちた所で酒で洗い、骨だけにして骨壺に収めるというやり方らしい。まあ骨は綺麗に残ると思うが、絶対やりたくはない。

 

 そしてうちもそうだったのだ。

 細長い四角のお墓には文字通り遺体をそのまま安置し時がくれば、開けて遺体を洗っていたそうなのだ。そして親父もその洗骨を経験していた。


 え・・・私の時代にこの風習が残らなくて良かった、と強く思ったものだ。

 

 親父の時代も云っても60年前までその風習がまだ残っていた。

 それにしても夜まかんみちを、石棺が開きご先祖様たちが這い出てきて歩き回る想像をして一層怖くなったものだ。まかんみち怖っ!怖くないですか?


 今、想像すると、ちょっとゾンビみたいで何だかモダンな気分である。スリラー的な・・・。

 先ほども言ったが現在はコンビニやスタバ、マックなどが出来ていてこじゃれた所になっている。うちの墓地も移転している。

 怪異も住みにくくなってる。都市部にゾンビは似合うか。では

 またやー

 

 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る