第3話 お盆

 ハイサイ

 沖縄で本土と一番違うのはお盆ではないだろうか?

 昔、中学生になる頃まではお盆、正月が楽しみだった。

 正月はお年玉は当然、親戚の子たちと遊べるのがとくに楽しかった。本家に行くと、子供達は親の立場関係なく騒いでいた。ところで祖父側の本家の方は2階に行く階段は登れたが奥に入ってはいけなかった。何故だったのだろうか。今となっては知りえない。

 対して祖母側の本家に行くと平屋なのだが、おじさんが趣味人だったので面白いものが一杯あってそれで遊んでも怒られなかったので楽しかった。

 釣り竿が壁一面にかけられていたり、自作の灰皿は取っ手がついてたりしていて家にあるものすべて面白グッズだった。しかも母屋の隅に小さな部屋を作っていて秘密基地みたいだった。

 犬がいて、何代も変わっていたが犬種もバラバラだったが名前が全てパーピーだった。


 しかも、那覇の首里地域に家があったのだがトイレが汲み取り式で何故かテンションが上がっていた。手洗い場もドラム缶に雨水を溜めたもので何故か楽しかった。

 おばさんがファンキーでおじさんと共に超が付くヘビースモーカーだった。

 ハイライトをチェーンスモークしていて、片膝立ててタバコ喫う姿はカッコよかった。およそ現代には生存不可能だろう。こういうおばーは昔、結構いた。

 

 本題に戻ると沖縄のお盆はウンケイ、ナカヌヒー、ウークイの3日ある。

 例外的に4日の地域もあるが。ウンケイはお迎え日、ナカヌヒーは中日、ウークイはお送りの日のことである。ご先祖さまをお迎えして、家で共に過ごして、送り返すのである。

 本土の事は判らないが同様なのか?沖縄の事しかわからない。

 

 多分違う所はウークイじゃなかろうか。親戚が全て集まりご先祖様をあの世に送る。なので分家達はご先祖様を送る為に仏壇がある家(本家)巡りをする。

 クライマックスが送るときでこれがワクワクしたものである。

 

 先ほどのファンキーなおばーが仏壇の前のテーブルにご馳走を並べ、線香を親戚皆の分立てて、お祈りをする。

 ファンキーオバーは亡くなった時に聞いたのだが、サーダカーと呼ばれる、一種

ユタに近い人だったらしい。

 その時に沖縄語(ウチナーグチ)で呪文?を唱える。ちゃんと身振り手振りもあった。

 長じてからよく聞くと、親戚の名前を読み上げ、健康を祈願し、その年に起こったトピックをご先祖様に報告していた。

 

 それがなんだか子供心に厳かでなんだか好きだった。


 その後、金のボールに紙のお金(かみじん)を入れて燃やして米、酒、ご馳走を入れる。

 あの世でお金と食べ物に困らないようにそうやって送るのだそうだ。後に聞いたが紙のお金は薄い一枚で一億ぐらいあるそうだ。本当だろうか?ゆうて10万だろう。

 その後で燃えた紙のお金、ご馳走などの燃えカス?を外の草むらにそっと置いてくるのである。


 その役目は家の長男の役目だった。

 

 祖母になんで外に置くのか聞くと、ミンヌクといって帰る家がない霊にお裾分けをしていると言っていた。お盆は帰る家が無いあの世の人も現世に返ってくるのである。お盆は海に行くと連れていかれると言われすごく怖かった。実際お盆に海に行きなくなった人の話を聞いたりした。

 そういう寄る辺ない霊たちが寂しくて連れて行くのかもしれない。

 急になるが沖縄ではあの世の事をグソーという。

 「お盆に海に行ったらグソーに連れてかれるよー」とよく言われた。

 

 しかしミンヌク、今思うと、いい話じゃないか、ゆいまーるである。(助け合いの心、的な意味である)

 大人になって思うと、子供の頃から、幽霊は居るのが当たりまえだったような気がする。幽霊の他にはマジムン(妖怪?怪物?)、キジムナーの話は当たり前にあった。

 メインイベントが終わるとご馳走とお菓子を皆で分けて帰るが、帰るとそれから自分の家のウークイをまた済ますのである。だから結構忙しい。

 

 しかもできるだけ遅く返すのが良いと言われていたので夜の10時頃から忙しくなるのだ。近所もみなそうだった。

 家は今も11時過ぎに送る様にしている。

 ところで仏壇にお供えするお菓子類で子供に人気のお菓子がある。

 レモンケーキと呼ばれるもので、分ける時に取り合いになったものである。

 今でも偶に食べると美味しい。隠れたウチナースイーツお試しあれ。

 作法としてお盆中は必ずサトウキビが仏壇の両脇に一本ずつ立て掛けられるのだが終わるとコレも持って帰ることになる。しかしサトウキビを持って帰ると親に怒られたものだ。食べにくいし邪魔なのだ。(ご先祖様が杖がわりに使うそうだ。本土では牛とかに乗り物に乗ってくるのに沖縄は歩かせる)


 そして子供の頃は終わると祭りの後の様な寂しさがあった。今は送ったという達成感を感じる。 

 ざっと流れだけだが、色んな作法があり、やり方として私の家は端折っているかもしれない。

 今回は私の父方のお盆をご紹介したが、次は母方、石垣島のお盆の話もご紹介したい。

 またやー。

 

 

 

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